大腸ポリープ(読み)ダイチョウポリープ(その他表記)Colon Polyp, Polyp of Large Intestine

デジタル大辞泉 「大腸ポリープ」の意味・読み・例文・類語

だいちょう‐ポリープ〔ダイチヤウ‐〕【大腸ポリープ】

大腸粘膜にできる、いぼのようなはれもの。発生する数も大きさもさまざま。高齢者に多い。中にはがんになるものもある。→ポリープ

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家庭医学館 「大腸ポリープ」の解説

だいちょうぽりーぷ【大腸ポリープ Colon Polyp, Polyp of Large Intestine】

[どんな病気か]
 ポリープとは、消化管の粘膜(ねんまく)の表面から突出した隆起(りゅうき)(盛り上がり)のことで、その内容は腫瘍(しゅよう)から炎症による盛り上がりまでさまざまです。
 大腸にできるポリープでもっとも多いのは腺腫(せんしゅ)と呼ばれる良性腫瘍で、これが全体の約80%を占めています。腺腫は将来がんになる(がん化)可能性をもっており、直径が1cm以上のものでは、すでに一部にがんがある可能性があります。
 ついで多いのは過形成性(かけいせいせい)ポリープや炎症性ポリープです。これらは腫瘍ではなく、がん化することもありません。
 大腸ポリープの数は、ほとんどが1~5個程度ですが、炎症性ポリープでは100個以上みられることがあります。また、腺腫が1000個以上もできる家族性大腸腺腫症(かぞくせいだいちょうせんしゅしょう)という遺伝性疾患があります。この疾患は20~30歳代で大腸がんになるので、予防のための手術が必要になります。
[症状]
 大腸ポリープは、ふつう無症状です。大腸がん検診人間ドックなどで、便潜血(べんせんけつ)(大便にまじった微量の出血)を指摘されて発見されることがよくあります。また、腹痛や下痢(げり)、便秘に対する精密検査として行なわれる大腸検査で偶然見つかることもありますが、ポリープがこうした症状の原因となっていることはまれです。
 一方、まるで痔(じ)からの出血のように、鮮血が便に付着したり、下血(げけつ)がみられることがあります。その際注意しなければならないのは、以前から痔があってよく下血を経験する人の場合、いつもの痔からの出血と思い、ポリープや大腸がんからの出血を放置してしまうことです。痔と思っても、一度は精密検査を受けるようにしましょう。
[検査と診断]
 バリウム肛門(こうもん)から注入して大腸内を検査する注腸X線造影や、大腸内視鏡検査が行なわれます。いずれも、検査の前日または当日は食事制限や下剤の服用が必要となります。
 内視鏡検査では、ポリープの組織を直接採取したり、切除することがあります。これによって確実な診断がつき、治療や経過観察の方針が決まります。
[治療]
 大腸ポリープの治療方針は、ポリープの組織をとって顕微鏡で検査した結果で決まります。ポリープが腺腫であると診断されたときは、一部にがんをともなっていたり、がん化の可能性があるのですから、内視鏡検査のときに切除することもよくあります。
 過形成性ポリープは放置してもよいのですが、大きくなって出血するものはやはり内視鏡で切除されます。
 内視鏡による大腸ポリープの切除は、直径が1cmまでの場合は一度ですみますが、それ以上の大きさの場合は何回かに分けて切除したり、外科手術(開腹手術)が必要になります。しかし、最近では腹腔鏡(ふくくうきょう)という内視鏡を使って、開腹せずに手術できる方法もあります。
 家族性大腸腺腫症では大腸がんが発生する可能性が高くなりますから、予防のために、大腸を手術により全部とってしまうことがあります。
 なお、これらの治療方針は原則で、個々のケースでどうするかは、年齢や全身状態を考えて専門医が判断します。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大腸ポリープ」の意味・わかりやすい解説

大腸ポリープ
だいちょうぽりーぷ

大腸の粘膜上皮が増殖して内腔(ないくう)側に突出した病変。その形状は多様で、有茎性のものをはじめ、半球状や扁平(へんぺい)(扁平型)のものもあり、表面が滑らかなものや、表面は不正で血管拡張を伴うものなどもある。

 病理組織学的には腺腫(せんしゅ)性や過誤腫性などに大別される。胃ポリープとは異なり大部分が腺腫で、その10~15%程度に局在がんがみられ、家族性大腸腺腫症では成人の場合約80%で肉眼的にもがん化がみられる。多くは無症状で、大腸X線検査や下部消化管内視鏡検査によって診断されるが、質的な診断には生検や切除が必要となる。

 大腸ポリープに対する治療は、腺腫であることが否定できない場合や悪性が疑われる場合、径が大きな場合などで考慮される。内視鏡下で生検を行い、組織検査・診断の結果をみて経過観察をするか、ポリープ切除が行われる。ポリープ切除術(ポリペクトミー)は内視鏡下で行われ、切除された病変は病理診断にてがんの有無が評価される。がんでない場合であっても、異型度やポリープの径、切除断端の評価(採り切れているかどうか)、残存ポリープの有無などにより、経過観察や再検査などフォローアップの方針が検討される。

[渡邊清高 2019年8月20日]

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百科事典マイペディア 「大腸ポリープ」の意味・わかりやすい解説

大腸ポリープ【だいちょうポリープ】

大腸に発生するポリープ。最も多いのは腺腫(せんしゅ)で,(がん)との関係が深い。若年性ポリープや,潰瘍(かいよう)性大腸炎などの炎症から2次的に発生するポリープの場合は,癌との関連はほとんどない。下血や潜血があり,悪性化すると腸閉塞の症状が起こることもある。治療は内視鏡による摘除を行い,あわせてポリープの生検を行う。
→関連項目癌予防薬

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大腸ポリープ」の意味・わかりやすい解説

大腸ポリープ
だいちょうポリープ
polyp of the large intestine

大腸のポリープは,腫瘍性の腺腫と,非腫瘍性の過誤腫性ポリープ,炎症性ポリープ,化生性ポリープの4つに大別される。大腸癌同様,加齢とともにふえ,男性に多い。腺腫はときに癌化する。特に大腸全域にびまん性に何百から何万と存在し,優性遺伝する家族性大腸ポリポーシスの場合には,放置すれば癌化する恐れがある。過誤腫性ポリープには若年性ポリープとポイツ=ジェガースポリープがある。炎症性ポリープには,潰瘍性大腸炎や限局性腸炎に伴うポリポーシス (多発性のポリープ) が含まれる。化生性ポリープは年齢とともに増加する通常2~3mmの小隆起で,直腸に好発する。腫瘍性である腺腫は外科的に治療する。

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世界大百科事典(旧版)内の大腸ポリープの言及

【大腸】より

…大腸癌の好発部位は大腸下部,ことに直腸であるので,血便や便秘は重要な徴候となる。大腸ポリープもよくみられるが,癌化する危険のあるものが多いので重要な病気である。副交感神経系の緊張亢進による過敏性大腸症候群がきわめて多いが,粘液性下痢,便秘,腹痛などがみられるものの,重大な病気ではない。…

※「大腸ポリープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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