騒音レベルA-weighted sound pressure levelを測定する計器。周波数補正回路として平たんflat特性を用いると音圧レベルsound pressurelevelの測定器ともなるので,汎用の音圧測定器としても利用されている。日本では,JIS規格で定められた精密騒音計ならびに普通騒音計が主として使用されている。騒音計の基本的な構成は図1に示すとおりである。マイクロホンは,音圧に比例した電圧が得られる無指向性の圧力型マイクロホンが使用される。増幅器は,マイクロホンで発生した微小電圧を増幅して,メーターの指示に十分なだけの電気量にするためのものである。減衰器は,メーターの指示を適切なところに移動させるための増幅度の調整用である。聴覚に近似させるための周波数補正回路は,従来はA,B,Cの3特性が用いられていたが,1977年のJIS規格の改正以来,B特性が廃止され,精密騒音計には,平たん特性が加えられた。A特性はフレッチャーおよびマンソンの等ラウドネスレベル曲線(等感曲線ともいう)の40phon(大きさのレベルで,ホンと読むが,後出の騒音レベルのホンとは異なる)。B特性は同じく70phonの曲線に近似する曲線を,水平軸を中心に上下ひっくり返して作製した特性,C特性は平たんに近い特性が,それぞれ採用されている(図2)。以前は,騒音の大小によってA,B,Cの特性を使い分けていたが,現在では,原則としてA特性のみで測定する。これはA特性による測定値が,聴感との対応がよいことが国際的に認識されてきたためである。このように,A特性の周波数補正を施した音圧レベルのことを騒音レベルという。
旧計量法では聴感補正(A特性の周波数補正)を行ったものを〈騒音レベル〉と定義していたが,新計量法の施行(1993年11月)に伴い,聴感補正を行わないものとあわせて〈音圧レベル〉と定義されることになった。しかし,聴感補正を行ったものを特に区別する必要がある場合には,従来どおり〈騒音レベル(またはA特性音圧レベル)〉と呼んで差し支えないとされている。ここでの記述はこの定義に基づいている。また音圧レベル(騒音レベルも含めて)の計量単位は〈ホン又はデシベル〉から〈デシベル〉に改正された。騒音レベルの単位は,dBのみでなく,過渡的な現象としてdB(A)またはホンも使用されているが,ホンは廃止されつつある。
→騒音
執筆者:山本 剛夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
騒音レベルを測定する計器。騒音そのものは感覚量であるため、個人差によって、また環境条件によってその感じ方にかなりの違いがある。しかし、騒音を規制するうえでは客観的かつ統一的な尺度が必要なため、標準的な人間の聴覚特性を基準に国際規格などによって物理的な音の強さと騒音の大きさとの関係が規定されている。騒音計の構造や特性に対して日本工業規格「指示騒音計」が制定されている。
騒音計は、その構成要素としてマイクロホン、周波数補正回路、増幅器、指示計器、校正装置、および電源を有しており、それぞれに標準特性と許容差が定められている。これらのうち、騒音という不確定な量を数値で表すうえでもっとも重要な働きをする周波数補正回路については、A、B、Cの3種の周波数特性をもつものが規格で決められており、対象とする騒音の大小に応じて切り換えて使用する。これは、人間の聴覚の周波数特性が音の強さによって異なることに対応したものであり、A特性はおよそ40デシベル(dB)の比較的小さな音に対する人間の聴覚特性に、B特性は約70デシベルの中程度の音に、C特性は85デシベル以上の大きな音に対する聴覚特性に近似させたものである。測定にあたっては、使用した聴覚補正回路の種類を測定値とともに、80デシベル(A)のようにかならず明記するよう規定されている。騒音公害の規制のために用いる騒音計については技術基準が法令で定められており、国家標準に基づく目盛り校正が行われている。
[三井清人]
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