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析出硬化 せきしゅつこうかprecipitation hardening

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

析出硬化
せきしゅつこうか
precipitation hardening

過飽和状態の固溶体時効すると,固溶体は相分解する。このとき,析出相が固体内に均一微細に分散することによって,合金の硬度が上昇する。これを析出硬化という。一種の時効硬化といえるが,効果が短時間で現れる点が異なる。コバルト基,ニッケル基の耐熱合金,耐熱鋼,一部のステンレス鋼,工具鋼,高速度鋼,磁石鋼などにみられる。これらの場合析出硬化は有効に働くが,クロム鋼にしばしば起る焼戻し脆性,アルミ青銅の自己焼鈍効果などは析出硬化が悪く働く例である。硬化に寄与する析出物は金属炭化物,窒化物,ホウ化物,あるいは金属間化合物,アルミニウム合金にみられるG-P帯など,さまざまである。低合金鋼や炭素鋼に現れるひずみ時効は,加工により転位が増殖してその部分に炭素,窒素,酸素などの原子が集るために起る現象と考えられ,やはり一種の析出硬化とみることができる。

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世界大百科事典 第2版の解説

せきしゅつこうか【析出硬化 precipitation hardening】

固体の内部において,組成・構造の異なる新しい相を生じることを析出と呼ぶが,この新相(析出相)の形成によって合金が硬化する現象が析出硬化である。硬化とは材料の硬度が増加することであり,材料内部に存在する転移を動きにくくすることで達成される。つまり転移の運動を妨害するのに適した大きさに析出が起こると硬化が生ずる。析出硬化現象を生じる合金系の平衡状態図(状態図)上での特徴は,溶質原子の溶解度が高温では大であり,低温では著しく小となることにある。

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世界大百科事典内の析出硬化の言及

【軽合金】より

…この合金は高温に加熱後,水中に急冷し,その後室温かそれよりやや高い温度においておくと強くなる。これは析出硬化といわれる硬化機構による。その後この原理を応用した種々の合金が開発され,特殊鋼の強さに相当するものも実用化され,第1次大戦から第2次大戦にいたる航空機の発展を支えた。…

【分散硬化】より

…結晶素地中に,たとえば酸化物や析出物のような固溶しない第二相粒子が存在することによって起こる硬化をいう。したがって,第二相粒子が形成される様式にはよらないが,とくに析出によって形成された第二相粒子の分散による硬化を析出硬化と呼ぶ。素地中に第二相粒子が存在するものは,ふつう素地よりも強いため転位運動の障害となる。…

※「析出硬化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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