六尺褌(ふんどし)の略。丈が六尺(曲尺(かねじゃく)または呉服尺、180または220センチメートル)の1本の布で巻き締める褌のこと。慶長(けいちょう)(1596~1615)以来、貴人、武士、庶民を通じ広く使用された。羽二重(はぶたえ)、縮緬(ちりめん)、繻子(しゅす)、緞子(どんす)などいろいろで、色も白に限らず、赤や紺などもあったが、一般には晒木綿(さらしもめん)が用いられた。母方の実家から8、9歳になる男児に褌を贈り、「へこ祝い」(成年式)をする風習もあった。大正の終わりごろまで用いられたが、しだいに廃れた。
また、陸尺とも書いて、一般には駕籠(かご)かきをいうが、そのほか賄方(まかないかた)、掃除夫など雑役(ざつえき)人をも総称する。江戸幕府では、紅葉山御高盛六尺20人、御賄六尺388人、御風呂屋六尺12人など数百人の六尺を抱え、それぞれに役米、役扶持を支給していた。
[片岸博子]
陸尺とも書く。駕籠舁(かごかき)をはじめ掃除夫,下男などの雑役人をいう。江戸幕府には奥六尺,表六尺,紅葉山御高盛六尺,御賄六尺,御用部屋六尺,奥御膳所六尺,御膳所六尺,御風呂屋六尺,椀方六尺などがあった。いずれも御目見(おめみえ)以下,二半場,白衣勤,15俵一人半扶持高であり,人数はそれぞれ10人前後から400人近くまでさまざまであった。役向きによっては分掌も多くあり,また頭(御目見以下,二半場,役上下)のおかれたものもあった。
執筆者:北原 章男
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…江戸幕府の職制には3名の駕籠頭(かごがしら)があり,各数十名の駕籠者(かごのもの)を支配して,将軍家乗物のことをつかさどったが,また乗物制度による国持大名以下の乗物乗用者も,その身分,格式に準じた人数・服装の駕籠者をおいて,これをかつがせていた。この乗物をかつぐ駕籠者のことを,また陸尺(ろくしやく),六尺とも呼んでいるが,これを〈ろくしゃく〉というのは,古く乗輿をかつぐのに力のある者を用いたところから,輿丁・舁夫を力者(りきしや)と呼んだのがなまったのだという。また駕籠舁というのは,これらの乗物をかつぐ駕籠者・陸尺以外の,市中や道中などで庶民の乗用する駕籠をかついだ,いわゆる駕籠舁渡世の者のことである。…
…奉公人という称呼は,中世では上位の従者,家臣をさすものとして用いられるのが一般的であった。御恩・奉公【佐藤 堅一】
【武家奉公人】
近世初頭までは侍身分の者をも奉公人のうちに加えていたが,江戸時代では将軍や大名,旗本・御家人や大名の家中に雇用された若党(わかとう),足軽,中間(ちゆうげん),小者(こもの),六尺,草履取(ぞうりとり),ときに徒士(かち)などの軽輩をさし,軽き武家奉公人ともいう。その平生の身分は百姓,町人であり,武家奉公中のみ家業として帯刀が許され,奉公さきの家来の取扱いをうけた。…
…江戸時代,幕府直轄領(天領)農村に課せられた高掛物と呼ばれる付加税の一種。江戸城台所の六尺と呼ばれる人夫の給米として,村高100石につき米2斗の割合で徴収した。毎年,年貢割付状によって賦課し,本年貢といっしょに米または代金で納めさせた。…
※「六尺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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