高用名(読み)こうゆうみよう

日本歴史地名大系 「高用名」の解説

高用名
こうゆうみよう

鎌倉期より宮城郡のうちとしてみえる広域地名で、「たかもちの名」とも記される。文治六年(一一九〇)三月一五日留守職に任ぜられた伊沢家景(「吾妻鏡」同年条)国衙周辺の高用名を所領として与えられたとされ、のち留守氏を称する。その領域残存史料によれば、仙台市北東の岩切いわきり余目あまるめほか南宮なんぐう(現多賀城市)村岡むらおか(現宮城郡利府町)などであるが、確定はしがたい。しかもこれらの所領の一部の地頭職は塩竈神宮寺の別当職を含め、留守家政・家継・家明と相伝され、同流はのちの持家が「余部三川守」を名乗っていることから余目系留守氏と称したと考えられる(永和二年一〇月九日「石橋和義軍勢催促状」留守文書)。一方「余目記録」などにより作成されたとする本流(美作系)留守氏の系譜にみえる恒家・家信などの名は、現段階では同記録以外には見いだしえない。また元禄元年(一六八八)の作成という留守家分流系図(「仙台市史」所収)は、家政・家明の系列が、伊達氏一五代晴宗の三男で留守氏に入嗣する政景につながる系譜となっているが、これも必ずしも信用できない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「高用名」の意味・わかりやすい解説

高用名【こうゆうみょう】

陸奥国宮城郡の国衙(こくが)付近にあった中世地名。現在の宮城県仙台市北東部から多賀城市利府(りふ)町にかけた広い地域にわたったとみられるが,領域の確定はしがたい。〈たかもちの名〉ともいう。1190年設置の陸奥留守職(るすしき)に補任された鎌倉幕府御家人伊沢家景に与えられた所領(地頭職)で,家景子孫は代々留守職と高用名地頭職を相伝し,留守氏を名乗った。

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