実業家,政治家。大阪府高槻の農家に生まれる。中学校の教師に水産の重要性を教えられ農商務省水産講習所製造科に入学,1906年卒業後,東洋水産会社技師長となる。12年メキシコに渡り缶詰工場建設を指導,のちアメリカへ移り製缶技術を学んで帰国。17年東洋製缶会社を創立し支配人となり,以後20余年製缶事業にうちこむ。41年鮎川義介に招かれ満州重工業開発会社副総裁に就任,翌年鮎川の後を受け総裁となる。終戦時は在満日本人会会長として日本人の引揚げに尽力,47年帰国。公職追放を受けるが,52年電源開発会社初代総裁に就任,佐久間ダム建設に際しては,みずから渡米,先進ダム技術を学んでこれに生かした。54年同総裁を辞し,第1次鳩山一郎内閣で経済審議庁長官に就任。翌年民主党から衆議院議員に当選(以後連続4回当選),第3次鳩山内閣経済企画庁長官,第2次岸信介内閣通商産業大臣を歴任。この間,ことに外交で活躍,アジア・アフリカ会議(バンドン会議,1955),コロンボ計画の会議(1955,56)の政府代表,日比賠償協定交渉の首席全権委員のほか,日ソ漁業交渉においても再三政府代表を務めた。また62年経済使節団長として訪中,廖承志との間で〈日中総合貿易に関する覚書〉に調印した。期間5年のこの第1次協定は両名の頭文字をとって〈LT貿易〉(〈日中貿易〉の項参照)と呼ばれ,その後の日中国交改善に大きく貢献した。
執筆者:日高 千景
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実業家、政治家。大阪府生まれ。水産講習所卒業。1917年(大正6)東洋製缶を設立。1942年(昭和17)満州重工業総裁。1952年電源開発初代総裁。1954年鳩山一郎(はとやまいちろう)内閣経済企画庁長官。1958年第二次岸信介(きしのぶすけ)内閣通産相。1955年衆議院議員(民主党)、以後連続4回当選。同年アジア・アフリカ会議に政府代表として出席したほか、日ソ漁業交渉など経済外交で活躍。1962年11月の日中総合貿易協定で、中国側の廖承志(りょうしょうし)とともに調印にあたった。そのため、この時期の日中貿易は廖と高碕のイニシャルをとり、LT貿易とよばれた。
[荒 敬]
『刊行会編『高碕達之助集』全2巻(1965・東洋製缶)』▽『『私の履歴書 経済人1』(2004・日本経済新聞社)』
出典 日外アソシエーツ「新訂 政治家人名事典 明治~昭和」(2003年刊)新訂 政治家人名事典 明治~昭和について 情報
大正・昭和期の政治家,実業家 衆院議員(自民党);通産相;大日本水産会会長;電源開発初代総裁。
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1885.2.7~1964.2.24
昭和期の実業家・政治家。大阪府出身。農商務省水産講習所卒。東洋製缶を創立。1941年(昭和16)満州重工業副総裁となり,のち総裁。第2次大戦の敗戦時には在満日本人の引揚げに努め,中国の産業復興にも協力。52年電源開発株式会社初代総裁として佐久間ダム建設にあたり,鳩山内閣では経済審議庁(のち経済企画庁)長官を務めた。この間に衆議院議員となり,第2次岸内閣でも通産相に就任。日ソ漁業交渉などの政府代表として活躍し,62年には廖承志(りょうしょうし)との間で「日中総合貿易に関する覚書」に調印,LT貿易が開始された。
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…この第2の原則に基づき,友好貿易という形でいわゆる〈友好商社〉が日本側の窓口になり,日中貿易をその後担っていくことになる。62年11月,高碕達之助と廖承志(りようしようし)との間で,長期,総合,バーター(バーター貿易),延払い(延払輸出)を基本とする〈日中総合貿易に関する覚書〉が取り交わされ,廖,高碕の頭文字をとったLT貿易が始まった。これは先の第1の貿易原則である政府間協定ではないが,それに準ずる(準政府ベース)取決めであった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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