日本大百科全書(ニッポニカ) 「鬼無里」の意味・わかりやすい解説
鬼無里
きなさ
長野県北部上水内郡(かみみのちぐん)にあった旧村名(鬼無里村(むら))。現在は、長野市北西端の一地区。2005年(平成17)、豊野(とよの)町、戸隠(とがくし)村、更級(さらしな)郡の大岡(おおおか)村とともに長野市に編入。名称の「鬼無里」は、平維茂(これもち)が鬼女を退治した「紅葉狩(もみじがり)」の伝説にちなみ、これ以前は水無瀬村(みなせ)とよばれていたという。長野市中心街に流下する犀(さい)川の支流裾花川(すそばながわ)の上流域で、周囲を山地で囲まれた山中の小平地を占める。また、標高750メートル前後の高地で、新潟県に接し、積雪地でもあるなど自然条件は厳しく、裾花川沿いに通じる国道406号による長野市へのバスが唯一の交通機関。かつては麻、近年は水稲とタバコを中心に栽培、森林の育成と保全を推進している。裾花川の源流近くには、ブナの原生林やミズバショウの群生地があり、紅葉もよい。この一帯は妙高戸隠連山国立公園に含まれ、奥裾花自然園やキャンプ場がある。南部にある白髯神社(しらひげじんじゃ)の本殿は国の重要文化財に指定されている。
[小林寛義]
『『鬼無里村史』(1967・鬼無里村)』