鵡川(読み)ムカワ

デジタル大辞泉 「鵡川」の意味・読み・例文・類語

むかわ〔むかは〕

北海道勇払郡の地名。鵡川むかわの下流域に位置する。平成18年(2006)鵡川町穂別町が合併して成立。シシャモ漁で知られる。

む‐かわ〔‐かは〕【鵡川】

北海道中南部を流れる川。日高山脈の狩振岳(標高1323メートル)に源を発し、むかわ町太平洋に注ぐ。河口の干潟は渡り鳥の中継地。長さ135キロ。

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日本歴史地名大系 「鵡川」の解説

鵡川
むかわ

日高山脈北部、上川支庁占冠しむかつぷ村と同支庁南富良野町の境にそびえる狩振かりふり(一三二三・四メートル)の西麓に源を発し、上川支庁の南端部から胆振支庁東端部にかけて南西に向かって流れる一級河川。流路延長は一三五キロ(うち指定区間一二四・九キロ)で、流域面積は一二七〇平方キロ(うち山地一三四・七平方キロ、平地一一三五・三平方キロ)。上流域に占冠村役場がある小盆地があり、パンケシュル川・双珠別そうしゆべつ川を合流後、蛇紋岩の岩脈をうがち、占冠村の赤岩青巌あかいわせいがん峡を下る。中流域では胆振支庁の穂別ほべつ町市街で夕張山地から南流する穂別川と合流し、沖積低地を曲流して同支庁の鵡川町で太平洋に注ぐ。「鵡川」の漢字表記地名はアイヌ語に由来し、「地名考并里程記」に「夷語ムカなり。則、水の涌くといふ(事)」と記される(鵡川町の→ムカワ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鵡川」の意味・わかりやすい解説

鵡川
むかわ

北海道中南部、胆振(いぶり)支庁(現、胆振総合振興局)管内にあった旧町名(鵡川町(ちょう))。現在は勇払(ゆうふつ)郡むかわ町の南部を占める地域。旧鵡川町は1953年(昭和28)町制施行。2006年(平成18)、勇払郡穂別町(ほべつちょう)と合併してむかわ町となる。旧町域は鵡川の下流域を占め、太平洋に臨む。JR日高(ひだか)本線、国道235号が沿岸を走る。日高振興局管内に接し、日高地方の色彩が濃い。1882年(明治15)山口県の移民により開拓が始まり、鵡川流域はしだいに耕地化された。夏は暑く、冬は積雪が少ない恵まれた気象条件、灌漑(かんがい)施設の整備などから鵡川の中流・下流域は肥沃(ひよく)な水田となり、胆振地方有数の米どころとなっている。段丘や台地には酪農地や競走馬生産の牧場がみられ、米の生産調整によるホウレンソウや花卉(かき)などの畑作も行われる。鵡川河口に漁港があり、秋のシシャモ漁で知られる。最盛期に漁家の軒先にシシャモを乾燥する簾(すだれ)が並ぶさまは壮観であるが、資源減少のため孵化(ふか)事業が行われている。苫小牧東部工業地域(とまこまいとうぶこうぎょうちいき)の用水供給源として鵡川が重要視されたが、開発の停滞により同地域には苫小牧工業用水が供給されている。

[奈良部理]

『『鵡川町史』(1968・鵡川町)』

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改訂新版 世界大百科事典 「鵡川」の意味・わかりやすい解説

鵡川 (むかわ)

北海道南部の川。幹川流路延長135km,全流域面積1270km2。日高山脈北部,上川,日高,十勝3支庁の境界付近に源を発し,夕張山地を流れてむかわ町で太平洋に注ぐ。上流部はトマム川と呼ばれ,占冠(しむかつぷ)村で双珠別川と合流して鵡川となる。中流部の夕張山地中では河谷が狭く,急崖が連なる赤岩青巌峡がある。下流のむかわ町では広い沖積地と段丘面が発達し,水田が開けている。上流部には3ヵ所の発電所があり,下流部では,秋にシシャモ漁が行われる。
執筆者:

鵡川(旧町) (むかわ)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鵡川」の意味・わかりやすい解説

鵡川
むかわ

北海道南部,むかわ町南部の旧町域。太平洋に面する。 1953年町制施行。 2006年穂別町と合体して,むかわ町となった。地名はアイヌ語のムカッペツ (川尻が絶えず移動するところの意) またはムツクアツ (ツルニンジンの多いところの意) に由来。鵡川の下流域を占め,良質米を産する。西部は苫小牧東部大規模工業基地の開発地域に含まれ,開発が進められた。チップ材を中心とする木工場が多い。鵡川河口のシシャモ漁は有名。地域に伝わるアイヌ古式舞踊は国の重要無形民俗文化財に指定されている。

鵡川
むかわ

北海道中南部,夕張山地の南端に発し,南西流して太平洋に注ぐ川。全長 135km。灌漑用水に利用され,下流の谷底平野は米作地域。

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