鷽替え(読み)ウソカエ

デジタル大辞泉 「鷽替え」の意味・読み・例文・類語

うそ‐かえ〔‐かへ〕【×鷽替え】

をかたどった木製の鳥を、参詣人が交換し合ったり、神官参詣人の古い鷽を別のものに引き替えたりする行事前年の不幸をうそにし、吉運に替える意という。太宰府天満宮での正月7日夕のとりの刻の神事東京亀戸天神社での正月25日に行われるものなどが有名。 新年》「―にくす夜空は雪こぼす/朱鳥

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鷽替え」の意味・わかりやすい解説

鷽替え
うそかえ

福岡県太宰府(だざいふ)市の太宰府天満宮で1月7日に行われる行事。参詣(さんけい)者が、夕方、互いに木製の鷽(ウソアトリ科の小鳥)を持って集まり、「かえましょかえましょ、金のうそとかえましょ」と鷽を交換しあう。神社から出された金の鷽を替え当てた人は神社から神酒(みき)をふるまわれ吉兆を得たことになる。鷽は火伏せのまじないとして家に持ち帰り神棚にあげる。鷽は嘘(うそ)に通じ、神事で1年間の不幸もすべて嘘となり、吉事に変わるといわれる。おそらく昔は玉取りなどと同じように奪い取った年占(としうら)の一種であったろう。

 この行事は、太宰府天満宮、大阪道明寺天満宮土師(はじ)神社)、東京・亀戸(かめいど)天神社、または福岡・住吉神社などで、鷽以外のものを交えて行われているが、ほとんど「鷽替え」を行わず、鷽だけを配布しているところが多い。大分県・宇佐神宮には鳩(はと)替神事がある。他の神社で交換されたものに亀(かめ)、玉、剣、花、達磨(だるま)などがあり、流行とともに新しく創案されたりもした。

[萩原秀三郎]


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改訂新版 世界大百科事典 「鷽替え」の意味・わかりやすい解説

鷽替え (うそかえ)

太宰府天満宮で1月7日に行われる神事。夜,明りを消した境内で参詣者どうしが木製の鷽を交換し合うもので,中に神社から出される金の鷽が混じっていて,替え当てた人は幸運を得るとされている。年間の不幸を鷽と共に神社に納めようとするものであるが,本来は神前の供え物を奪い合う年占の一種ではなかったかという。京都北野神社,大阪の天満宮,東京亀戸天神などにも類似の行事があり,1月25日に行う所もある。
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世界大百科事典(旧版)内の鷽替えの言及

【噓】より

…うそは現実に存在しないものに対応し,それに形を与えるものといえ,年の替り目に当たって新旧二つの時間を媒介し,新しい時間をこの世にもたらすものと考えられる。このことは,正月に天満宮で行われる〈鷽(うそ)替え〉にもあてはまる。鷽を交換することで1年間の不幸をうそとして払ってしまうともいい,それによって新しい年や幸運を迎えるのである。…

※「鷽替え」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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