鸚鵡石(読み)おうむせき

  • ×鸚×鵡石
  • おうむいし アウム‥
  • おうむいし〔アウム〕
  • おうむせき アウム‥
  • おうむせき〔アウム〕

デジタル大辞泉の解説

山間などにある、音をよく反響する岩石。言葉石。響き石。おうむせき。
おうむせき2」に同じ。
おうむいし1」に同じ。
歌舞伎の名せりふを書き抜いた本。役者の声色(こわいろ)の練習用に出版された。おうむいし。
人の言ったことを、そのままに真似ていうこと。
「先刻桐山から聞いた事をば、全然(まるきり)―で喋口(しゃべ)りたてる」〈逍遥当世書生気質

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百科事典マイペディアの解説

歌舞伎狂言の名ぜりふを抜粋した小冊子。役者の声色を使う台本にも用いられた。江戸時代には,上演のたびに劇場や江戸市内で盛んに売られた。幕末ころには役者の似顔絵錦絵(にしきえ)風の表紙をつけて刊行されたが,明治以後ほとんど跡を絶った。
→関連項目声色

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世界大百科事典 第2版の解説

歌舞伎の名ぜりふ集。役者の声色(こわいろ)をするのに便利なようにせりふを抜粋して載せた小冊子。古くは寛文延宝(1661‐81)ころからはじまるが,鸚鵡石の名を付けるのは1772年(安永1)からであろう。大坂でも刊行されたが,江戸では各座の興行ごとに発売された。幕末には,色刷りのものも出版されている。また,上演演目とは関係なく,単行本として役者の似顔絵やせりふのくせなども収めた名ぜりふ集も出版された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

歌舞伎(かぶき)用語。上演台本のうち、名台詞(せりふ)だけを部分的に抜き出したもの。本来は俳優の声色(こわいろ)を覚えるための小冊子で、声色本(こわいろぼん)ともいった。この種の本は1670年(寛文10)ごろから刊行されていたが、1772年(安永1)京都の大津屋友吉が、オウムが答えるように音を反響させる鸚鵡石という石から思い付き『物真似狂言(ものまねきょうげん)鸚鵡石』の題を使って以来、声色本の総称のようになり、役者の似顔絵などを入れて出版されるようになった。明治後期以後、この種の本の刊行は衰えたが、名台詞の抜き書きを鸚鵡石とよぶ習慣は残り、いまでも公演のパンフレット類に載せることがある。

[松井俊諭]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
③ =おうむせき(鸚鵡石)③〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕
〘名〙
① 山肌にあらわになった大岩などで、音をよく反響させるもの。言葉石。響き石。ものいい石。おうむいし。
※随筆・輶軒小録(1736頃)「一の大岩石山の半腹に偃然たり。即鸚鵡石也。〈略〉其岩の上に居て云へば、彼石も亦人の言ふ如く対ふるなり。謡を諷ひ、皷を打ち、三弦など弾ずれば、石も亦夫々の音をなし、ささやけばささやく声をなす。わめけばわめく声をなす」
② 孔雀石(くじゃくいし)の一種。薄い黄緑色をしたもので、酸で溶解し、笙(しょう)の簧(した)に塗る。おうむいし。〔雲林石譜‐下・鸚鵡石〕
③ 歌舞伎の名科白(めいせりふ)を抜き書きした小冊子。役者の声色を習うためのもので、公演ごとに売り出された。声色本。おうむ。おうむいし。
※滑稽本・旧観帖(1805‐09)初「鸚鵡石(アフムセキ)を見て能く口真似をすれども」
④ 人の言ったことをそっくり真似て言うこと。また、他人の説を受け売りすること。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一〇「先刻桐山から聞いた事をば、全然(まるきり)鸚鵡石(アウムセキ)で喋口(しゃべ)りたてる」

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世界大百科事典内の鸚鵡石の言及

【せりふ尽し】より

…その内容は,名のり,つらね,六方詞をはじめ,もの尽し,物売,早口,地口,掛合,敵討物語,意見のせりふ,《暫》のせりふ,《助六》の男達(おとこだて)のせりふなど種々のものがある。以後,〈せりふ尽し〉の刊行はしだいに盛んとなり,声色(こわいろ)本として,安永(1772‐81)初年には〈鸚鵡石(おうむせき)〉が,明治になってからは〈影芝居〉などの刊行をみるに至った。なお,テキストには,稀書複製会本に,《六方こと葉》(1673),《せりふ大全》(1709ごろ)などがある。…

※「鸚鵡石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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