黄山(読み)こうざん

世界遺産詳解 「黄山」の解説

こうざん【黄山】

1990年に登録された世界遺産(複合遺産)。中国安徽省南部にあり、標高1800m以上の蓮花峰、天都峰、光明頂を主峰として、1000m以上の峰々が連なる連山である。世界遺産に指定された154km2に及ぶ黄山一帯は、古生代にできた花崗岩が長い年月をかけて浸食され、まるで山水画に描かれた深山幽谷のような奇景をつくり出しており、古代から著名な景勝地とされてきた。黄山一帯に点在する、奇松と怪石と雲海の「三奇」と温泉は、合わせて「黄山四絶」と称され、李白や杜甫をはじめ歴代の多くの文人墨客が集まり、「天下の名景は、黄山に集まる」と形容され、たたえられた。黄山は、秦の時代には「黟山」と呼ばれていたが、ここは道教の五岳(泰山、衡山、恒山、嵩山、華山)に次ぐ聖山とされ、伝説上の皇帝がこの山で仙人になったという話から、道教を信奉する唐の皇帝がこの山を「黄山」と改名した。こうしたことから、黄山山中には道教の堂塔や道観(寺院)が多数点在している。◇英名はMount Huangshan。ホワンシャンともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄山」の意味・わかりやすい解説

黄山
こうざん / ホワンシャン

中国、安徽(あんきアンホイ)省南部にある山。揚子江(ようすこう/ヤンツーチヤン)水系銭塘江(せんとうこう/チエンタンチヤン)の支流である新安江(しんあんこう/シンアンチヤン)との分水嶺(ぶんすいれい)である。古くは黟山(いざん)といい、747年に黄山と改められた。花崗(かこう)岩からなり、主峰は1841メートルの光明頂、最高点は1873メートルの蓮花嶺(れんかれい)である。氷河時代の氷食による懸崖(けんがい)絶壁の奇勝に富み、珍しい黄山マツの老樹が多く、雲海、温泉などで有名な景勝地である。宋(そう)代より遊覧者を集めたが、解放後、黄山公園がつくられ、登山道、温泉浴場、プール、観瀑(かんばく)楼、療養所などが建設された。地質時代の第四紀研究の中心で、地理学者李四光(りしこう/リースーコワン)が氷河の痕跡(こんせき)を発見したことで知られる。1990年に世界遺産の複合遺産(文化、自然の両方の価値がある遺産)として登録されている(世界複合遺産)。

[林 和生]

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百科事典マイペディア 「黄山」の意味・わかりやすい解説

黄山【こうざん】

中国の東部,安徽省の南部に位置する黄山は,中国で最初に国家重点風景名勝区に指定された代表的景勝地。最高峰の蓮花峰(標高1865m)を中心に72の花崗岩(かこうがん)の奇峰がそそり立ち,そのところどころに迎客松,臥竜松などと名付けられた古松の奇木が生え,これらが霧が流れる雲海に浮かんで水墨画を見るような見事な景観を呈する。かつては雲谷寺などの寺院もあったところで,1990年世界複合遺産に登録された。

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世界の観光地名がわかる事典 「黄山」の解説

こうざん【黄山】

中国の安徽(あんき)省南部にある名山、景勝地。黄山の三主峰と呼ばれる蓮花峰、光明頂、天都峰をはじめ、そのほか69の峰々が連なっている。秦の時代には「黟山(いざん)」と呼ばれたが、唐の時代に黄山という名称に改められ、今日に至っている。その独特の断崖絶壁の景観は古くから文人墨客に愛され、水墨画、漢詩などのモチーフになってきた。中国の十大風景名勝地の一つで、唯一の山岳風景区である。また、黄山は道教や仏教の修行の場として、数多くの寺院が建てられている。世界遺産(複合遺産)に登録されている。

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世界遺産情報 「黄山」の解説

黄山

黄山は中国・安徽省にある景勝地で、山水画の世界が広がっています。伝説の仙境を彷彿とさせる独特の景観から、「天下の名勝、黄山に集まる」と言われ、数多くの文人が訪れてきました。約1億年前までは海底で、地殻変動により隆起し、花崗岩質の山が浸食されて72の奇峰になったといわれています。最高峰は標高1860mの蓮花峰。怪石、奇松、雲海は黄山の三絶(三奇)と言われ、中国10大風景名勝の一つになっています。1990年にはユネスコの文化自然複合遺産に登録されました。

出典 KNT近畿日本ツーリスト(株)世界遺産情報について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黄山」の意味・わかりやすい解説

黄山
こうざん

「ホワン(黄)山」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の黄山の言及

【歙】より

…明・清時代には徽州府に昇格,府治を歙県に置き,休寧,婺源(むげん),祁門(きもん),夥(か),績渓の各県を統轄した。江蘇,浙江,江西に通ずる要地で,境内に〈天下の名景は黄山に集まる〉といわれる黄山があり,奇岩と雲海に代表される景観は,画家たちの興味を引きつけてやまない。有名な歙硯(しようけん)は婺源県の歙渓から産する硯石で,南唐のころから世に聞こえ,端渓硯よりはやくから知られていたが,宋代には佳石がなくなったという。…

※「黄山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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