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黄金株 おうごんかぶ

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

黄金株

会社の合併などの議案を否決できる特別な株券のこと。拒否権つき株式ともいう。原則として1株だけ発行できる。普通株式を買い占められたときでも、黄金株を保有する株主によって重要事項の議決を拒否できる権限がある。友好的な株主に黄金株を与え、特に敵対的買収による合併提案を否決してもらうのが主な狙い。海外では過去、イギリスで公益性の高い国営会社を民営化する際に、その公共性を維持する目的で発行された事例がある。国内では郵政事業の民営化による郵便貯金銀行と郵便保険会社に黄金株を発行させる方向で検討している。

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知恵蔵の解説

黄金株

原則として1株だけ発行される拒否権付き株式。普通株式を買い占められた場合でも、黄金株を保有する株主は合併に対する拒否権を行使できる。このため、敵対的買収への対抗手段とされる。2006年施行の新会社法では種類株式としての発行を可能としている。東京証券取引所は当初、黄金株発行企業の上場を禁止する方針だったが、発行後6カ月以内に取り消すことを条件に、上場企業に対しても発行に同意した。国際的には株主の権利平等の原則に反することから、米国ではニューヨークを始め主な証券取引所が発行を禁止、EUも各国の取引所に発行禁止を求めている。

(熊井泰明 証券アナリスト / 2007年)

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事業再生用語集の解説

黄金株

株主総会での拒否権を与える種類株の一種。友好的な株主に割り当てることで、敵対的買収者から出た提案を株主総会で否決してもらうことが可能。

出典 (株)セントラル総合研究所事業再生用語集について 情報

M&A用語集の解説

黄金株

株主総会において、重要議案を否決できる権利を与えられた特別な種類株式。拒否権付株式とも言う。元々英国国営企業民営化に際し外国企業からの敵対的買収に備えるため政府の株式持分に拒否権を付与して防衛策としたのが始まりで、転じて (少数ではあっても) 特定の株主の持分に取締役会決議に対する拒否権といった特別な権限を付した株式のことを言う。発行会社に友好的な株主に黄金株を持たせることにより、敵対的買収に対する協力な防衛策となる。但し、黄金株には、企業価値の向上が期待でき、過半数の株主の賛成する買収提案でも経営者の恣意的判断で否決することが可能となるなど、株主平等の原則、一株一議決権の原則を害する面もある。また、黄金株は、友好的な株主が保有していれば敵対的買収の防衛策となるが、逆に買収側が黄金株を取得するというリスクも存在する。これまでは、種類株式のみに譲渡制限を設けることは認められていなかったが、会社法の施行により、種類株式のみに譲渡制限を設けることも認められることとなった。取締役の過半数の選解任その他重要な事項についての黄金株は上場廃止基準の対象となっている。

出典 株式会社ストライクM&A用語集について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

黄金株
おうごんかぶ
golden share

株主総会や取締役会で重要議案を否決する権利を与えられた株式。拒否権付株式ともいう。1980年代にイギリスのサッチャー政権が国営企業の民営化を進めた際、空港や通信などの国防上重要な事業が外国企業に買収されることを防ぐために、政府保有株に拒否権を付与したのが始まりとされる。ほぼ100%の株主が賛成した議案でも、1株で決定を覆すことができる絶大な権限をもつことから黄金株とよばれ、通常、黄金株は1株しか発行されない。経営陣に友好的な株主に黄金株を割り当てておけば、敵対的買収者に株式を買い占められた際にも買収者を退けられることから、黄金株発行は企業の買収防衛策として有効な手法の一つとされる。なお広義には、1株で複数の議決権をもつ複数議決権付株式も黄金株に含めることがある。
 黄金株は配当や議決権が普通株式とは異なる「優先株」「劣後株」「譲渡制限株」などと同じ種類株式の一種であり、発行する場合には会社の定款に明記しなければならない。ただし黄金株は特定株主に大きな権限が集中するため、株主平等の原則や「一株一議決権原則」(会社法308条1項)に反するとして、株式市場に上場する企業で採用されることはほとんどない。日本では、2004年(平成16)に上場した国際石油開発(現、国際石油開発帝石)が外資による買収を避けるため、政府(経済産業大臣)が同社の黄金株を保有している1事例のみである。上場企業以外では、UFJ銀行が三菱東京フィナンシャル・グループと経営統合する際、三井住友フィナンシャルグループによる買収を避けるために黄金株を発行したことがある。また、上場前のベンチャー企業が資金調達のためベンチャー・キャピタルに対して発行するケースがあった。なお、上場企業については、友好的株主に発行した黄金株が敵対的株主に譲渡される恐れがあったため、2006年(平成18)施行の会社法第108条では、譲渡制限をつけて黄金株を発行することが認められた。当時、東京証券取引所は黄金株導入企業の上場を拒否する意向を示していたが、経済界の反発もあり、上場を条件つきで認める方針に転じた。
 アメリカでは、グーグルやフェイスブックなどインターネット企業の創業者らが上場前に普通株の数倍から10倍の議決権のついた複数議決権付株式を保有し、上場後も経営権を確保する例がある。ただしアメリカの主要株式取引所は上場後の黄金株発行を禁止しており、ヨーロッパ連合(EU)も域内各国の取引所に黄金株制度の廃止を求めている。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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衣笠祥雄

[生]1947.1.18. 京都プロ野球選手。京都の平安高校時代,捕手として甲子園に出場。高校卒業後,1965年広島東洋カープに入団。内野手に転向し,1970年 10月 19日の対読売ジャイアンツ (...

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