鼻咽腔血管線維腫(読み)びいんくうけっかんせんいしゅ(英語表記)Nasopharyngeal angiofibroma

六訂版 家庭医学大全科 「鼻咽腔血管線維腫」の解説

鼻咽腔血管線維腫
びいんくうけっかんせんいしゅ
Nasopharyngeal angiofibroma
(のどの病気)

どんな病気か

 鼻の奥にできる良性腫瘍で、思春期男児に多く、その他の年齢および女児ではほとんどみられません。頭蓋内にまで進展することがあります。

原因は何か

 思春期の男児に多くみられることから性ホルモンの関与が疑われています。諸説があり、依然論議の多いところです。

症状の現れ方

 鼻出血や鼻づまりを訴えて病院を受診します。初めは少量の鼻血でしばらくすると止まるので放置していることが多く、進行してくると出血量も多くなり、鼻血を繰り返すようになります。鼻づまりも著しくなり、さらに大きくなると滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)による難聴や、眼球突出などの顔面変形を生じます。

検査と診断

 鼻腔内視鏡検査で腫瘍が診断できます。CTMRIを行い腫瘍の広がりを診断しますが、その際造影剤を使って検査をすると血流の状態が推測されます。最近では造影剤を急速に注入してCTを行い、簡易の血管造影検査として血流の状態を把握したり、三次元表示で腫瘍の全体像を知ることができます。

治療の方法

 手術が第一選択ですが、血液が豊富な腫瘍で、腫瘍が顔面の深部にあるため視野が悪いので、術中の出血を少なくするために血管造影と栄養血管の塞栓術を術前に行います。最近では、内視鏡を補助的に用いて視野の悪さを改善する術式や、大きさにより内視鏡下の操作のみで摘出する術式もあります。

病気に気づいたらどうする

 耳鼻咽喉科を受診してください。CT、MRIなどの検査で診断が確定すると、手術が必要になります。

加藤 孝邦

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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