改訂新版 世界大百科事典 「鼻示数」の意味・わかりやすい解説
鼻示数 (びしすう)
nasal index
正面から見た鼻の形を表す示数。生体と頭骨で定義が異なる。生体計測では,鼻幅(左右の鼻翼の間の最大幅)を鼻高(ナジオンからスブナザーレまでの直線距離。すなわち,鼻根から鼻の下までの上下方向の寸法)で割った値である。鼻示数が小さいほど正面から見た鼻の形が細長く,狭鼻(鼻示数が70未満),中鼻(70~85),広鼻(85~100),過広鼻(100以上)に分類される。鼻示数の地理的分布は気候と関連があり,寒冷地,乾燥地ほど鼻示数が小さい傾向があり,吸気の温度と湿度を調節するための適応と説明されている。1990年代初頭の計測データによると,青年日本人男女の鼻示数は平均して69~70,60歳以上の日本人男女では平均して72~73であった。
頭蓋計測での鼻示数は鼻幅(梨状口最大幅)を鼻高(ナジオンからナゾスピナーレ,すなわち梨状口の最も低い点を正中矢状面に投影した点,までの直線距離)で割った値として計算され,狭鼻(鼻示数が47未満),中鼻(47~51),広鼻(51~58),過広鼻(58以上)に分類される。
→顔示数 →人体計測法
執筆者:河内 まき子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報