外交官,領事官など国際法上特権を認められている者を除いて,入国・上陸・在留する外国人の一定範囲の者につき,公簿に登録することである。外国人の居住関係および身分関係を明確にし,外国人の公正な管理に資することを目的とする(外国人登録法(1954公布)1条)。日本では,1894年,日清戦争開始の3日後に,〈帝国内ニ居住スル清国臣民ニ関スル件〉(勅令)を公布して在留清国人の登録を実施して以来,外国人登録制度を採用して今日に至っている。その間,いくどもの戦争や社会事情の変化によって,登録制度も変化した。現行制度との関連で重要なのは,第2次大戦後の〈外国人登録令〉(1947年公布の勅令)である。同令は,本邦に入った外国人または本邦において外国人になった者は60日または14日以内にその居住地の市長村の長に登録申請をしなければならないこと,登録後はつねに登録証を携帯し,官公吏の請求があれば呈示しなければならないことなどを定めた。サンフランシスコ講和条約の発効にともない公布,施行された〈外国人登録法〉(1952公布)は,これらの規定を引き継いだが,国際化の進展に対応して,数次の改正が行われた。新規登録申請期間の延長(60→90日),登録要件の緩和(指紋押捺(おうなつ)原則1回へ,写真必要枚数の減少など),登録申請,登録証携帯,指紋押捺等の義務年齢の引上げ(14歳→16歳),登録証切替確認期間の延長(3年→5年),登録証不携帯罪の自由刑の廃止など緩和の方向に進んでいる。ただ,1955年〈外国人登録法の指紋に関する政令〉から,登録証の偽造,譲渡,二重登録などの防止という理由で,登録原票,登録証明書および指紋原紙に指紋を押さなければならなくなった(この点については強い批判がある)。外国人登録は,20世紀中葉には,ひろく諸国において実施されていた制度であるが,国際化の進展とともに,各国とも大幅に簡素化を進めており,ヨーロッパ連合(EU)内では,すでに外国人登録の観念はない。日本でも指紋押捺制度は永住外国人については92年,その他の一般外国人については99年に廃止された。
執筆者:萩野 芳夫
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…ただし,外国人であるかどうかは,しばしば不明確な場合がある。たとえば,旧外国人登録令(1947公布)は,日本国籍をもつ者と連合国軍の将兵等以外の者を外国人とし,とくに台湾人,朝鮮人を外国人とみなした(2,11条)が,平和条約(1952発効)11条の〈日本国民〉には,台湾人,朝鮮人が含められ,戦犯として刑の執行を受け続けた(最高裁は1952年の判決でこれを肯定)。 外国人処遇の歴史は,一般的に五つの段階を経てきたといわれるが,その処遇が問題となるのはとりわけ近代国民国家の成立以後である。…
※「外国人登録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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