外国人登録法(読み)ガイコクジントウロクホウ

精選版 日本国語大辞典 「外国人登録法」の意味・読み・例文・類語

がいこくじん‐とうろくほうグヮイコクトウロクハフ【外国人登録法】

  1. 〘 名詞 〙 日本に在留する外国人の登録に関する手続きなどを定めた法律。昭和二七年(一九五二)制定。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「外国人登録法」の意味・わかりやすい解説

外国人登録法
がいこくじんとうろくほう

60年(1952年4月~2012年7月)にわたって存在した、日本に在留する外国人の登録を実施して居住地や身分を明確にし、公正な管理をするための制度を定めた法律。昭和27年法律第125号。外国人登録証明書の携帯や指紋押捺(おうなつ)を義務化(2000年に完全撤廃)していたため、国連や人権団体などから人権侵害温床になっていると批判されていた。「出入国管理及び難民認定法」(略称「入管法」昭和26年政令第319号)などの一括改正法(平成21年法律第79号)の施行により、2012年(平成24)に廃止された。廃止後も入管法に基づき、外国人向け在留カードが発行されているうえ、テロ防止を目的に指紋採取(特別永住者〈後出〉は除外)も2007年に復活している。

 外国人登録法は、外国人登録令(ポツダム勅令第207号、1947年公布・施行)にかわって、1952年(昭和27)の対日講和条約(正式名称「日本国との平和条約」、昭和27年条約第5号)の発効と同時に施行された。在留外国人の情報については、国が入管法に基づいて把握しているのに対し、市区町村は外国人登録法に基づいて把握していた。外国人登録法は日本に住む外国人(適法入国、不適法入国を問わない)は入国後90日以内(出生その他の事由で日本で外国人になった者は60日以内)に、居住する市区町村へ氏名・国籍・在留資格などを登録する義務を規定。市区町村は外国人登録証明書を発行し、16歳以上には常時携帯を義務づけた。拒否すれば1年以下の懲役禁錮または20万円以下の罰金に処した。

 外国人登録法の廃止で、永住者、留学生、特定技能資格取得者などの中長期在留者には在留カードを、朝鮮半島や台湾出身などの特別永住者には特別永住者証明書を交付する制度に移行。そして、中長期在留者には在留カードの携帯・提示を、特別永住者には特別永住者証明書の提示(携帯義務はない)を義務化した。また、日本人と同じく、住民基本台帳への在留外国人の登録を開始し、在留外国人について市区町村は世帯単位で転出入・出生・死亡・婚姻を把握している。

[矢野 武 2024年12月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「外国人登録法」の意味・わかりやすい解説

外国人登録法【がいこくじんとうろくほう】

日本に在留する外国人の登録を実施してその居住関係と身分関係を明確にし,〈在留外国人の公正な管理に資する〉(第1条)ための法律(1952年施行)。市町村長による外国人登録原票への登録,登録証明書の携帯・呈示義務および指紋押捺(おうなつ)の義務などについて定める。指紋押捺の拒否とこれに関わる訴訟問題を機に1982年,1988年,1993年に改訂され,指紋押捺義務の特別免除制度を導入したが,1999年に指紋押捺は全廃された。2009年の出入国管理法などの改正法と住民基本台帳法の一部改正公布によって,外国人登録法は廃止され(2012年),中長期に日本に滞在する外国人は住民基本台帳法の適用を受けることになった。
→関連項目外国人在日朝鮮人出入国管理および難民認定法

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外国人登録法」の意味・わかりやすい解説

外国人登録法
がいこくじんとうろくほう

昭和27年法律125号。日本に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住・身分関係を明確にし,公正な管理に資するための法律。2012年廃止。日本に在留する外国人に,入国した日から 90日または外国人となった日から 60日以内にその居住地の市町村長に外国人登録原票への登録を申請し,登録証明書の交付を受けること,7年ごとに登録事項の確認と登録証明書の切替交付を受けることを義務づけた。登録証明書は,原則として常に携帯しなければならなかった。当初,1年以上の長期在留者(16歳以上)は登録原票および指紋原紙への指紋押捺の義務を負っていたが,廃止・改善を求める声が高まり,1999年8月改正法が成立,外国人指紋押捺制度は全廃され,代わって署名および家族事項の登録という同一人性確認手段がとられることになった。また登録原票の開示制度が新設された。2012年,新たな在留管理制度の導入に伴い廃止された(→出入国管理及び難民認定法)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の外国人登録法の言及

【外国人登録】より

…外交官,領事官など国際法上特権を認められている者を除いて,入国・上陸・在留する外国人の一定範囲の者につき,公簿に登録することである。外国人の居住関係および身分関係を明確にし,外国人の公正な管理に資することを目的とする(外国人登録法(1954公布)1条)。日本では,1894年,日清戦争開始の3日後に,〈帝国内ニ居住スル清国臣民ニ関スル件〉(勅令)を公布して在留清国人の登録を実施して以来,外国人登録制度を採用して今日に至っている。…

【出入国管理】より

… 第2次大戦後,日本国憲法が制定され,基本的に国際交通の自由の保障が宣明(とくに22条〈居住・移転・移住の自由〉を参照)されたが,平和条約の発効(1952年4月28日)までは,出入国管理権は,占領軍の手にあり,その下で制定された勅令〈外国人登録令〉(1947公布)を主たる法規として運用された。平和条約の発効にともない,〈出入国管理令〉(1951年公布の政令),〈外国人登録法〉(1952公布)が制定されるとともに,〈入国管理庁設置令〉(1951年公布の政令。同庁は後に法務省入国管理局へ改組)が制定され組織が整えられて,回復された出入国管理権の行使体制がつくられた。…

※「外国人登録法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む