DNAポリメラーゼ(読み)ディーエヌエーポリメラーゼ

化学辞典 第2版の解説

DNAポリメラーゼ
ディーエヌエーポリメラーゼ
DNA polymerase

EC 2.7.7.7.DNAまたはRNA分子中の塩基配列を鋳型とし,5′-デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP,dGTP,dCTP,dTTP)を基質とし,プライマー(起動物質)存在下で,核酸の3′-OH末端にデオキシリボヌクレオシド一リン酸を重合させ,鋳型核酸の塩基配列と相補性を有するDNAを合成する酵素.

Mg2+,または Mn2+ を必要とする.大腸菌より抽出されたDNAポリメラーゼⅠは,DNA合成以外に次の反応を触媒する.
(1)二リン酸交換反応,
(2)エキソヌクレアーゼ作用.
分子量1.09×105 で,4種類の塩基の結合する部位は1か所で共通である.トリプシンで消化すると分子量7.6×104 と3.4×104 に分かれる.すべての細胞の細胞質,核質,ミトコンドリア,リボソーム中に存在する.1970年,RNA腫瘍ウイルス中にRNAを鋳型とし,DNAを合成するRNA依存DNAポリメラーゼが発見され,逆転写酵素と命名された.[CAS 9012-90-2]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

DNAポリメラーゼ
ディーエヌエーポリメラーゼ
DNA polymerase

DNA合成酵素。核酸の DNAを複製する際に働く酵素で,鋳型 DNAに沿って 5'→3' の方向にヌクレオチドを結合する。二重螺旋構造の DNAを合成するにはポリヌクレオチドリガーゼが同時に共存しなければならない。岡崎令治によれば,DNAポリメラーゼは DNAのフラグメント環状に形成するようである。

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デジタル大辞泉の解説

ディーエヌエー‐ポリメラーゼ【DNAポリメラーゼ】

DNA polymeraseDNAを合成・複製する酵素総称。4種のヌクレオシド(アデノシン・チミジン・グアノシンシチジン)を重合させ、鋳型とする核酸DNARNA)に対して相補的な塩基配列をもつDNAを合成する。合成を開始するにはプライマーと呼ばれる核酸の断片が必要。DNA合成酵素

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世界大百科事典 第2版の解説

ディーエヌエーポリメラーゼ【DNAポリメラーゼ DNA polymerase】

DNA複製DNA修復に必須の酵素であり,すべての細胞に含まれている。ヌクレオチドを重合して,長いDNA鎖を合成する。1958年コーンバーグA.Kornbergらにより大腸菌から発見され,以後,多くの生物でその存在が確認されている。反応には鋳型が必要であり,4種類のヌクレオチドの重合順序は,A‐T,G‐C対合の規則により鋳型に指定されたとおりに進む。デオキシリボヌクレオシド‐5′‐三リン酸からピロリン酸を遊離し,リン酸ジエステル結合により重合していく(図参照)。

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世界大百科事典内のDNAポリメラーゼの言及

【DNA複製】より

…したがって,新しく作られたDNA分子は古い鎖と新しい鎖がより合わさっていることになる。DNA複製には必ずDNA合成が伴うが,これを行うのがDNAポリメラーゼという酵素である。この酵素によって触媒されるDNA鎖の伸長は一方向にしか起こらない。…

※「DNAポリメラーゼ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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