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J-PARC ジェーパークJapan Proton Accelerator Research Complex; J-PARC

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

J-PARC
ジェーパーク
Japan Proton Accelerator Research Complex; J-PARC

大強度陽子加速器施設。Japan Proton Accelerator Research Complexの頭文字をとった愛称。日本原子力研究開発機構の中性子科学研究計画と高エネルギー加速器研究機構の大型ハドロン研究計画を共同プロジェクトとして統合,2001年度から茨城県東海村の原子力科学研究所の敷地に建設が始まった。負水素イオンを 400MeVまで加速する線形加速器,3GeVの陽子シンクロトロン,50GeVの陽子シンクロトロンを備える計画であった。線形加速器はビームを 3GeVのシンクロトロンに入射させるが,予算の都合で 181MeVで運用している。3GeVのシンクロトロンはビームの一部を 50GeVのシンクロトロンに入射させるが,90%を中性子の生成に,10%をμ粒子の生成に用いる。中性子ビームは,物質・生命科学研究施設に送られ,さまざまな研究に用いられる。ナノテクノロジーでは物質の原子的構造,たとえば燃料電池の鍵となる高分子電極膜の研究,生命科学では細胞再生と修復を目指して細胞やタンパク質の分子レベルの構造や運動の調査などである。μ粒子のビームも,広く物性物理学や化学の研究,また工学では非破壊検査磁性材料の評価などに使われる。50GeVシンクロトロンは,これも予算の都合で 40GeVを目指しているが,2009年1月に陽子を 30GeVまで加速し取り出すことに成功した。ビームはハドロン研究施設に送られ,ハイパー核K中間子のまれな崩壊様式などの研究に用いられる。2010年2月には,3GeVシンクロトロンで加速した陽子を原子核ターゲットにあててつくったニュートリノのビームを約 295km離れた岐阜県飛騨市神岡町に向けて発射し,そこにあるスーパーカミオカンデで検出するという実験に成功した。この実験はニュートリノが飛行中にミュー型からタウ型,電子型へと変化を繰り返す振動の研究を目的とした。第2期の計画としては,線形加速器では核廃棄物処理,μ粒子では,それを触媒とする核融合の研究などがある。

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知恵蔵miniの解説

J-PARC

茨城県那珂郡東海村にある大強度陽子加速器施設の愛称。Japan Proton Accelerator Research Complexの略。日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構の共同プロジェクトで、世界最高クラスの大強度陽子ビームを生成するための研究施設。素粒子物理、原子核物理、物質科学、原子力など幅広い分野の最先端研究を行っている。2001年に建設が開始され、09年に第1期施設が稼働を開始した。13年5月、放射性物質の漏えい事故が発生、原子力規制庁の調査を受けた。

(2013-5-31)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

J-PARC
じぇーぱーく

日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で茨城県東海村に建設・運営している大強度陽子加速器施設。J-PARCとは、英語のProton Accelerator Research Complex(陽子加速器研究複合施設)の頭文字にJapanのJをつけたもので、施設の愛称として用いられている。2008年(平成20)より稼働。光速近くまで加速した大強度陽子ビームを標的原子などに衝突させて発生する中性子や中間子、ニュートリノなどを使い、素粒子物理、原子核物理、物質科学、生命科学、原子力などの研究に供用されている。大強度陽子加速器として、初段の400MeV(メガ電子ボルト)まで加速するリニアック(直線加速器)、次に3GeV(ギガ電子ボルト)まで加速するRCS(Rapid Cycling Synchrotron円形加速器)、そしてさらに50GeVまで加速するMR(Main Ring円形加速器)が用意されている。これらの加速器からの大強度陽子ビームや、それから生成される2次粒子ビームを用い、各種実験が行われている。物質科学・生命科学研究では中性子やミューオンを使い、水やタンパク質の構造を解析して新薬や化粧品、新材料、リチウムイオン電池、水素燃料電池などの開発に利用している。原子核・素粒子研究では、ハドロンに注目して、ビッグ・バンや質量の起源を研究し、また、スーパーカミオカンデ(岐阜県飛騨(ひだ)市神岡町)に向けてニュートリノを射出して、ニュートリノの質量の精密測定を行っている。次期計画として、放射性廃棄物に含まれる長寿命核種を短寿命核種へ変換させるための技術開発を目ざしている。[山本将史]

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