K中間子(読み)ケーちゅうかんし(英語表記)K-meson

翻訳|K-meson

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「K中間子」の意味・わかりやすい解説

K中間子
ケーちゅうかんし
K-meson

ケーオンともいう。中間子の1種でスピン0のボソン。 1947年 G.D.ロチェスターと C.C.バチェラーにより宇宙線の霧箱写真のなかでV形飛跡として発見された。電荷が正である K+ ,負の K- ,および2つの中性粒子 K0 があるが,アイソスピンは1/2で,粒子は K+ ,K0反粒子は K- である。 K+ と K-質量は 494MeVで寿命は 1.237×10-8 秒。 K0 の質量は約 498MeVで短寿命 0.89×10-10 秒,長寿命 5.18×10-8 秒の重ね合せとなっている。 K+ ,K- ,K0 のクォーク構造をもつ。π中間子と核子との衝突によってK中間子がつくられるとき,必ずΛ粒子,Σ粒子または Ξ 粒子と対になって生成されることからストレンジネスと呼ばれる量子数が発見された。K中間子の粒子ではストレンジネスが+1,反粒子ではストレンジネスが-1である。K中間子は非常に多種類の様式で崩壊し,その研究から 57年李政道楊振寧パリティ非保存を発見し,また 64年に CP不変性の破れが実証された。前者自然界に左右非対称性が存在する証拠であり,後者は物質世界と反物質世界とを絶対的に区別する実験手段を与えてくれる。

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