階段耕作(読み)カイダンコウサク(英語表記)terrace culture

デジタル大辞泉 「階段耕作」の意味・読み・例文・類語

かいだん‐こうさく〔‐カウサク〕【階段耕作】

傾斜地に階段状に平地を作って田畑とし、農作物を作ること。段々畑棚田たなだなど。

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精選版 日本国語大辞典 「階段耕作」の意味・読み・例文・類語

かいだん‐こうさく‥カウサク【階段耕作】

  1. 〘 名詞 〙 傾斜地や丘陵を利用して、階段状に田畑を耕作すること。

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改訂新版 世界大百科事典 「階段耕作」の意味・わかりやすい解説

階段耕作 (かいだんこうさく)
terrace culture

傾斜地を普通作物の栽培に利用する場合の耕作方式の一つで,農地保全を目的として,等高線に沿った階段で耕地を区切り,段畑を設けるものである。この方式を適用した水田棚田と呼ばれる。各段畑はゆるやかな傾斜をもつものが斜面の利用上有利で工事も容易であるが,水田として利用する場合には水平でなければならない。階段の法面(のりめん)は草を生やして補強するが,傾斜の著しい場合には石組みを利用することもある。一般にテラス栽培といわれるものは,この階段耕作をいうことが多いが,広い意味では緩傾斜地で,耕地を等高線に沿った水路や広幅のうねで仕切る方式をいう場合にも用いられる。傾斜地は降雨などによる土壌浸食が著しいため,通常は森林や永久草地として利用されることが多いが,国土が狭小で人口密度が高い場合には,耕地がしだいに傾斜地に拡大し,階段耕作によって“耕して天に至る”景観が出現する。日本においても,瀬戸内海沿岸地域を中心として階段耕作は全国的に広く見られ,水田における顕著な例として,長野県の“田毎の月”は有名である。しかし傾斜が急であるほど作業能率は落ち,耕作者には過酷な労働を強いる方式でもある。世界的にみると,古くから農業が営まれ,人口密度の高い東南アジアの山岳地帯にその事例が多い。またインカ帝国において,すでに階段耕作の行われていたことが遺構から認められ,その技術水準がしのばれている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「階段耕作」の意味・わかりやすい解説

階段耕作
かいだんこうさく

傾斜地を階段状の田畑に改造して農作物を栽培すること。テラス耕作の一種。斜面のまま耕作するよりも面積は減るが、土壌流出を防止する効果は大きい。また、かなり急な斜面でも耕作できる。段畑耕作ともよばれ、西日本では柑橘(かんきつ)類の栽培が盛んである。階段耕作では資材や収穫物の上げ下ろしが重労働であるため、最近では運搬の機械化が進んでいる。東北や中部、北陸地方では水田利用が多く、棚田(たなだ)とよばれる。耕作面は、水田では水平であるが、畑の場合はやや傾斜をもつ場合もある。地中海沿岸、フィリピンのルソン島、インドネシアのバリ島、中国などにも多い。

[星川清親]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「階段耕作」の意味・わかりやすい解説

階段耕作
かいだんこうさく
terrace cultivation

山腹の斜面を階段状にして耕作すること。平野が狭く山がちで,しかも人口稠密な場所では,耕地をより多く獲得する必要から,山地の斜面を切り開いて耕地化するが,その際耕地は階段状になる場合が多い。水田の場合は棚田,畑地の場合には段々畑とも称する。水田は灌漑用水を必要とする関係上,水平にしなければならず,階段耕作はより顕著にみられる。多大の労働力を必要とし,かつ労働は過酷,機械化が困難で,農業の近代化をはばむ要因となっている。西日本,中国南部,フィリピン,ジャワ,地中海沿岸,アンデス山中などにみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の階段耕作の言及

【等高線栽培】より

…以上いずれの方式も,斜面の傾斜が著しくなると十分の効果を期待できなくなる。このような場合,斜面を階段状に区切って利用する階段耕作の方式が採用される。 なおアメリカの水田地帯では,等高線に沿ってあぜを設置して耕地を区画することが多い。…

※「階段耕作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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