プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料 原発の使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜた燃料。日本は海外の企業に再処理を委託し、国内では青森県六ケ所村に再処理施設を建設している。関西電力は2010年12月、高浜原発3号機でMOX燃料を初めて使用。燃料の分裂を抑える制御棒の効きがウラン燃料よりも低下するなどの課題が指摘されている。
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混合酸化物燃料(Mixed Oxide Fuel)の略称。二酸化ウラン(UO2)と二酸化プルトニウム(PuO2)の混合酸化物よりなる核燃料である。高速炉の燃料をさすこともあるが、プルトニウムを軽水炉で利用する際の、つまりプルトニウムのサーマル利用(プルサーマル)の際の燃料の名称として広く用いられている。通常のウラン燃料を原子力発電所で燃やすと、ウラン量の1%程度のプルトニウムが生成される。この使用済み燃料を再処理することによって、プルトニウムを取り出すことができる。ウランおよび取り出したプルトニウムの酸化物の粉末を高温でペレット状(円筒型)に焼き固めて製造したものがMOX燃料である。なお、再処理工程で取り出した直後のプルトニウムを用いてMOX燃料を製造する場合は、MOX燃料中のプルトニウム酸化物の含有率は4%程度ですむが、再処理した後、長期間保管したプルトニウムでは、その一部が中性子をむだに吸収するアメリシウムに変換し、核分裂の効率が落ちるため、場合によっては含有率を10%程度まで高めなければならない。
なお、プルトニウムを高速増殖炉で利用する場合には、天然ウランの99.3%程度を占める「燃えない」ウラン238に炉内で中性子を吸収させると、原理的にはすべてプルトニウムに変えて燃やすことができるようになるので、資源の有効利用度は100倍程度になる。しかしプルサーマルの場合、使用済み燃料中に1%程度生成するプルトニウムを利用するにすぎない。これはウラン燃料中の「燃える」ウラン235(低濃縮ウランの含有率は約3~4%)が20~30%程度増えることに相当するが、資源の有効活用度も同程度であり、有効活用手段としての価値は低い。このように価値が低いにもかかわらず、プルサーマル政策が放棄されないのは、本来プルトニウムを取り出すことが目的である再処理工場の存在理由に役だてるためだという批判もある。
[舘野 淳]
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