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高速増殖炉 こうそくぞうしょくろ fast breeder reactor; FBR

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

高速増殖炉
こうそくぞうしょくろ
fast breeder reactor; FBR

高速中性子による核分裂連鎖反応を利用し,核分裂エネルギーを生み出しながら,他方では消費した燃料以上に新しい核分裂性物質をつくりだす原子炉(→増殖炉)。主としてウランプルトニウムの混合酸化物 MOX(Mixed Oxide)を燃料に,冷却効率のよい液体金属ナトリウムを冷却材に用いるタイプが開発されている(→液体金属冷却材)。

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知恵蔵2015の解説

高速増殖炉

プルトニウム(PU)を燃料とする原子炉。消費したものより多いプルトニウムが生じるので増殖炉という。燃料に核分裂しないウラン238を混ぜておく。プルトニウムが核分裂すると複数の中性子が飛び出す。そのうちの1個が次のプルトニウムの核分裂に使われ、残りの1個以上がウラン238をプルトニウムに変える。1個のプルトニウムの核分裂で新たに何個のプルトニウムが生じているかを転換比と呼ぶ。高速増殖原型炉もんじゅ」の当初の設計では12。増殖はしないが、軽水炉より多量のプルトニウムを生み出す原子炉を新型転換炉(ATR)という。1978年、動力炉・核燃料開発事業団(動燃・当時)が敦賀市に軽水冷却の新型転換原型炉「ふげん」を建設した。しかし、動燃解体に伴い、2003年3月に運転を終了した。青森県大間町に国と電力会社が出資した国策会社Jパワーが実証炉を建設する予定だったが、費用の見積額の高騰で95年に中止になり、予定地には混合酸化物(MOX)燃料だけを使う原発を造ることになった。「もんじゅ」は改造工事を進めており、08年に運転再開する予定。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

高速増殖炉

発電用の熱を炉心から取り出す冷却材としてナトリウムなど液体状の金属を使う原子炉。水を使う通常の原発と異なり、核燃料から飛び出す中性子が減速しない。それを利用して核分裂を起こしにくいウラン238をプルトニウム239に変え、核燃料を増やすことができる。ナトリウムが空気中の水分に触れると爆発的に反応することから、安全性への懸念が根強い。

(2013-09-27 朝日新聞 朝刊 2外報)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

こうそく‐ぞうしょくろ〔カウソク‐〕【高速増殖炉】

高速の中性子を利用し、発電しながら消費した量以上の燃料を生み出すことができる原子炉ウランプルトニウムを混合したMOX燃料を使用し、冷却材としてナトリウム鉛ビスマス合金などの液体金属を用いる。日本・ロシアフランス・中国・インドなどで研究開発が続けられているが、実用化には至っていない。日本には実験炉の「常陽」、原型炉の「もんじゅ」がある。FBR(fast breeder reactor)。→高速炉
[補説]天然ウランの99.3パーセントを占めるウラン238は核分裂を起こしにくく、そのままでは核燃料として使えないが、中性子を吸収すると核分裂するプルトニウム239になる。高速増殖炉は、炉内で発生する中性子を減速せず「高速」のまま使うことによって、MOX燃料に含まれる燃えないウラン238を燃えるプルトニウム239に変え、燃料を「増殖」させる。もんじゅの場合、消費する燃料の約1.2倍の燃料を増殖できる。高速増殖炉は、原子力発電所の使用済み燃料から回収したプルトニウムを燃料として再利用する核燃料サイクルの中核を担う技術として実用化が期待されているが、ウランよりも放射能毒性が高く核兵器の原料にもなるプルトニウムを燃料として使用することや、冷却材として用いる液体金属の取り扱いが難しいことなどから、実現を疑問視する見方もある。米国・英国・ドイツなどはすでに開発を断念している。

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百科事典マイペディアの解説

高速増殖炉【こうそくぞうしょくろ】

増殖炉

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世界大百科事典 第2版の解説

こうそくぞうしょくろ【高速増殖炉 fast breeder reactor】

略称FBR。原子炉のうち,その核分裂の連鎖反応が主として高速中性子により引き起こされるものであって,連鎖反応により消滅する核分裂性物質よりもその過程で転換により生成する核分裂性物質のほうが多いものをいう。高速増殖炉の可能性は,マンハッタン計画のなかでE.フェルミやジンWalter H.Zinnらにより指摘され,1946年ころからジンによって計画された増殖実験炉EBR‐Iは51年に完成した。この原子炉は235U燃料を238Uのブランケットで囲んだ炉心を液体金属NaK(ナク)(ナトリウムとカリウムの合金)で冷却しているもので,世界で初めての高速増殖炉であると同時に世界で初めて原子力発電を行った炉でもある。

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大辞林 第三版の解説

こうそくぞうしょくろ【高速増殖炉】

核分裂に伴って発生する高速中性子をそのまま核分裂連鎖反応に利用する増殖炉。発生するプルトニウムを取り出すには再処理工程が必要で、その危険性が指摘されている。 FBR 。 → 増殖炉

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

高速増殖炉
こうそくぞうしょくろ

天然ウランの99%以上を占める「燃えない」ウラン238に炉内で中性子を吸収させ、プルトニウム239に変えることによって、消費した量以上の核燃料を生産する原子炉。ここから「増殖」の名がある。理論上はこの炉を用いれば、軽水炉に比較してウラン資源を100倍近く有効に利用することができる。軽水炉では減速した中性子を用いて核分裂を起こすのに対して、この炉では発生したままの高速(高エネルギー)の中性子を用いるため、「高速」と名づけられている。炉心から発生した熱を取り出す冷却材としては、現在のところ減速作用の小さい金属ナトリウムが用いられている。軽水炉に比較して炉内の圧力が低いため、冷却材喪失事故の起きる可能性は小さいが、炉内に発生した泡によって核反応が進む「正のボイド係数」による反応度(暴走)事故などの危険性が指摘されており、また水と激しく反応するナトリウムの扱いがむずかしく、技術的には未完成な炉である。
 さらに、核兵器の材料であり、同時にきわめて毒性の強いプルトニウムを大量に扱う点でも問題がある。高速炉の開発にもっとも力を入れてきたフランスでは、実用炉の一つ前の段階の「スーパーフェニックス」炉に故障が続発し、アメリカやその他の国々では、実質的に開発を取りやめているが、それはコストが軽水炉の5倍程度かかるという経済的理由によるものとされている。日本には、日本原子力研究開発機構の「常陽(じょうよう)」(茨城県大洗(おおあらい)町)と「もんじゅ」(福井県敦賀(つるが)市)の2基がある(原子炉の開発は、一般に実験炉、原型炉、実証炉の段階を経て実用炉へと進み、「常陽」は実験炉、「もんじゅ」は原型炉である)。しかし、「もんじゅ」は1995年(平成7)12月のナトリウム漏れ事故(当時は動力炉・核燃料開発事業団が所有)と2010年(平成22)8月の炉内中継装置落下事故により運転休止状態が続き、「常陽」も2007年11月の実験装置トラブル以来停止している。高速増殖炉の実用化はますます遠いものとなった。[舘野 淳]

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世界大百科事典内の高速増殖炉の言及

【原子炉】より

高速増殖炉増殖率が1以上の高速炉。英語のfast breeder reactorを略してFBRということもある。
【燃料,冷却材による分類】
天然ウラン炉天然ウランを燃料とする原子炉。…

【核燃料サイクル】より

…したがって再処理によってPuを本格的に利用できるようになれば,Uの利用率は飛躍的に増大する。Puを本格的に利用しようとする原子炉が高速増殖炉である。高速増殖炉では,エネルギー生産のために消費されたU,Puより副産物として生産されるPuの方が多い。…

【原子炉】より

…重水炉にもこの管中を流れる冷却材を,BWRのように沸騰させる設計と,PWRのように沸騰させないで別に設けた蒸気発生器で二次冷却材を沸騰させる設計とがある。(3)ナトリウム冷却炉 液体ナトリウムは,過去には黒鉛を減速材とする熱中性子炉の冷却材に使うことも試みられたが,現在は高速増殖炉の冷却材にのみ使われている。高速炉は減速材が不要であるから,軽水のように減速能力の大きなものは冷却材に使用できない。…

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