化学的chemical、生物学的biological、放射能radio-active兵器の総称。放射能兵器を核atomic兵器と表現して、ABC兵器と総称する場合もある。これらの兵器を操作するには分化した科学の専門分野における高度の知識を必要とし、使用すれば大量無差別殺人も可能であり、爆発を伴わない限り建造物を破壊することなく、遮蔽物(しゃへいぶつ)を透過したり迂回(うかい)したりして目標物に到達するなどの特徴により一般兵器と区別される。
化学兵器、生物兵器の効果は気流など気象条件に左右されることが大きく、気象学上の専門知識も要求される。化学兵器は神経ガス、皮膚びらんガス、窒息ガスなどの致死剤と、嘔吐(おうと)ガス、催涙ガス、精神錯乱ガスなどの非致死剤に大別されるが、その化学的実体は固体微粒子、液体のこともあり、正しくはガスでなく剤とよぶべきである。生物兵器にも疱瘡(ほうそう)ウイルス、ペスト菌、コレラ菌、チフス菌、炭疽(たんそ)菌など死亡率の高い病原体と、Q熱クラミジアなど長期間患者に倦怠(けんたい)感をもたらすが非致死的であるために人道的という使用の口実を与えるものもある。また遺伝子工学の発達は新型の生物兵器を開発する可能性を与えている。放射能兵器はγ(ガンマ)線、中性子線によるもののほか、将来の開発が多く考えられる。
これらの兵器の法的規制については、すでに1925年ジュネーブ議定書が化学兵器および細菌兵器の戦争における使用を禁止している。また、1972年に成立した生物毒素兵器禁止条約が生物剤、毒素剤の開発、生産、貯蔵などの禁止を定め、条約発効後も運用検討会議が開催されている。さらに1993年に成立した化学兵器禁止条約では、すべての化学兵器の開発、生産、取得、貯蔵、移譲ならびにそれらの使用を禁止し、いわば完全化学軍縮の達成を目ざしている。この条約の定期的な締約国会議では、条約の普遍化や国内実施の強化に向けての取り組みが企てられている。
なお、放射性兵器(核兵器を含む)については、その軍縮を定めた一般条約はまだ存在しない。しかし、国際司法裁判所の1996年7月8日の勧告的意見は、核兵器の威嚇または使用は国際法とくに国際人道法の原則および規則に一般に違反すると述べた。
[和気 朗・藤田久一]
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