病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「JAK阻害剤」の解説
JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤
《トファシチニブクエン酸塩製剤》
ゼルヤンツ(ファイザー、武田薬品工業)
《バリシチニブ酸塩製剤》
オルミエント(日本イーライリリー)
JAK(ヤヌスキナーゼ)は、炎症反応あるいは免疫反応に関係する蛋白質(炎症性サイトカイン)を細胞内にシグナル伝達するために必要とされる酵素です。JAK阻害剤は、この酵素の働きを阻害し、炎症がおこるシグナルの伝達を阻害することで、関節リウマチの痛みや腫れを抑制します。既存治療で十分な効果を得られなかった場合の関節リウマチに使用されます。
またトファシチニブクエン酸塩製剤は、中等度から重症の潰瘍性大腸炎の寛解期導入および維持療法にも用いられます。
帯状疱疹、結核、肺炎、敗血症などの感染症が悪化することがあります。そのほか、消化管
鼻咽頭炎、頭痛、血中コレステロール増加、気管支炎、尿路感染症、貧血、脂質異常症、高血圧、吐き気、下痢、疲労などがおこることがあります。このような症状がおこったときは、医師に相談してください。また、白血球や赤血球が減少することがあるので、指示された検査は必ず受けてください。
①錠剤です。トファシチニブクエン酸塩製剤は1日1~2回、バリシチニブ酸塩製剤は1日1回、服用します。1回の使用量、使用時間については医師・薬剤師の指示を守り、かってに中止したり、減量・増量しないでください。
②あらかじめ問診の際に、持病・アレルギーなどの体質や、現在使用中の薬の有無を医師に報告してください。この薬で過去に過敏症をおこしたことがある人は使用できません。必ず医師にその旨を伝えてください。
③妊婦あるいは現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人には、使用できません。また、敗血症などの重い感染症、活動性結核、重度の腎機能障害、好中球数が500/㎜3未満の人、リンパ球数が500/㎜3未満の人、ヘモグロビン値が8g/dL未満の人は、使用できません。
④免疫を制御する作用が増強されると感染症にかかりやすくなるので注意が必要です。
⑤現在使用している薬があるときは、あらかじめ医師に報告し、ほかの薬を使用するときも前もって必ず医師に相談してください。トファシチニブクエン酸塩製剤は、マクロライド系抗生物質、アゾール系抗真菌剤、カルシウム拮抗剤、抗HIV剤、抗ウイルス剤の併用、グレープフルーツの摂取、バリシチニブ酸塩製剤はブロベネシド製剤の併用で薬の効果が強くなることがあります。フルコナゾール製剤、抗てんかん剤、セント・ジョーンズ・ワート含有食品などでは効果が減弱することがあります。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報