知恵蔵 「Windowsタッチ」の解説
Windowsタッチ
利用するには、マルチタッチ対応のタッチパネルを搭載したディスプレーが必要だが、画面上の操作対象を直接触れる感覚で操作できるため、マウスやタッチパッドを使うより直感的な操作が可能になる。Windows 7以前にもOS(基本ソフト)レベルでタッチパネルを利用する仕組みはあったが、ペンを使った操作を前提としていた。ペン操作は画面上の細かい1点を指し示したり自然な線を描いたりできるため、マウスの代替や文字や絵の手書きには有用だが、指はペンよりも画面に触れる面積が広く、正確な位置指定や細かい描画が難しい。そこで、指での操作を前提に操作法を調整したのがWindowsタッチである。
Windowsタッチでは、マウスの操作の代替として、クリック、ドラッグ、右ボタンのクリック(右クリック)を下記のタッチ操作で行える。
アイコンなど画面上の操作対象を突くように一瞬触れば「タップ」(叩く)となり、マウスの左ボタンをクリックする代わりとなる。また画面に触れたまま指を動かせば操作対象を移動するドラッグ、画面に触れたまま指を動かさずにいるとマウスの右ボタンをクリックしたのとそれぞれ同じ結果が得られる。指を止める後者の操作を「プレス アンド ホールド」といい、画面に触れたまま静止するとタッチ位置の周囲に少しずつ円が描かれ、完全な円になったら指を離すことで「右クリック」となる。
また、タッチパネルに特定の触れ方をすると、それが「ジェスチャー」(しぐさ)として認識され、対応する次のような機能を直接実行できる。Windowsタッチ最大の特徴である。まず、1本または2本の指でウインドー内をドラッグすることで「パン」という動作になり、ウインドーのスクロール操作が行える。ただし、タッチ位置に操作対象があるとドラッグや範囲選択になることがある。次に、写真などの操作対象に2本指でタッチし、そのまま指の距離を離せば拡大、近づければ縮小、片方の指を軸に反対の指を回せばその方向に操作対象が回転する。また、1本の指で操作対象に触れたまま別の指でタップすると「プレス アンド タップ」となり、上のプレス アンド ホールドと同じ効果が得られる。
拡大縮小、回転の操作についてはアプリケーションソフトがジェスチャーに対応している必要がある。例えば写真を扱うアプリケーションソフトにおいて、写真の拡大縮小や回転の機能を持っていても、ジェスチャーに対応せず2本指の操作では実行できない場合がある。
Windowsタッチはペン操作でも利用される「フリック」にも対応している。
(斎藤幾郎 ライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報