アジア開発銀行(読み)アジアカイハツギンコウ(その他表記)Asian Development Bank

デジタル大辞泉 「アジア開発銀行」の意味・読み・例文・類語

アジア‐かいはつぎんこう〔‐カイハツギンカウ〕【アジア開発銀行】

Asian Development Bank》1966年、アジアの経済開発促進目的として設立された国際銀行。本店マニラADB

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共同通信ニュース用語解説 「アジア開発銀行」の解説

アジア開発銀行(ADB)

1966年に創設された国際金融機関で、インフラ整備のための低利融資や技術協力などを通じてアジア太平洋地域の途上国支援に取り組んでいる。フィリピンの首都マニラに本部を置き、68カ国・地域が加盟。日本は米国と並ぶ最大の出資国で、現総裁の浅川雅嗣あさかわ・まさつぐ氏(元財務省財務官)を含め、歴代総裁は全て日本人が務めている。(仁川共同)

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精選版 日本国語大辞典 「アジア開発銀行」の意味・読み・例文・類語

アジア‐かいはつぎんこう‥カイハツギンカウ【アジア開発銀行】

  1. ( [英語] Asian Development Bank の訳語 ) アジアの経済開発促進のための国際的な金融機関。一九六〇年設立。本店所在地マニラ。略称ADB。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アジア開発銀行」の意味・わかりやすい解説

アジア開発銀行
あじあかいはつぎんこう
Asian Development Bank

アジア・太平洋地域における開発途上国の経済開発を促進し、貧困の減少を目的に設立された地域国際開発機関。略称ADB。1963年のECAFE(エカフェ)(アジア極東経済委員会閣僚会議で設立構想が具体化し、1965年12月フィリピンのマニラで設立協定が採択されて、1966年12月に業務を開始した。本部所在地はマニラで、2023年時点の加盟国は68か国・地域(域内49、域外19)である。日本は創設当初からの加盟国で、アメリカとともにADBの総資本の15.6%ずつを保有する第1位の出資国であり、アメリカと同様に議決権の12.8%を保有している。第3位の出資国は中国で、出資比率6.4%、議決権比率5.4%を占めている。歴代の総裁は日本人が務めており、大半は財務省出身者である。

 アジア・太平洋地域は世界でも経済成長率が高い地域であるが、1日1.9ドル以下で生活する貧困人口を2.6億人も抱えている。このため、加盟国の経済社会的発展を促進するために開発資金の融資、技術支援、無償資金供与、出資などを通じた支援や、経済計画の政策策定に関する助言や政策対話、官民の共同金融支援で資金調達を拡充するなど、多様な支援を行っている。

 資金は、加盟国からの拠出資本金と、借入金とからなる通常資金と、特別拠出金による特別基金とに大別される。融資は開発を目的とする公共投資の比重が高く、部門的には情報通信技術、エネルギー運輸などが多い。2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)危機以降は、長期的開発支援に取り組みつつも、感染症の影響に対応するため保健・医療セクターへの融資を行ったり、将来の危機への対応および各国の保健・医療サービスに関するユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現を推進する制度を導入した。

 ADBは長期的戦略指針として、包括的成長、環境に配慮した持続可能な成長、地域統合をあげているが、アジア・太平洋地域は気候変動、自然資源の損失、汚染・廃棄物という三重の課題に直面しているとの認識にたち、現在は「アジア・太平洋地域の気候バンク」として、気候変動対応の支援に力を入れている。まずは2015年に、2020年までに年間最大60億ドルの気候関連融資を増やすことに初めてコミットし、1年前倒しで実現した。2019~2021年の累計融資額は143億ドルに達し、さらに2024年までに合計350億ドルの供与にコミットしている。また、「ストラテジー2030」のもとで、2030年までの目標累計気候関連融資額を1000億ドルとしている。さらに、2023年7月までに新規ソブリン(公共セクター)業務についてはすべてを、ノンソブリン(民間セクター)業務については85%以上(2025年には100%)を、世界の温室効果ガス削減で合意した2015年パリ協定の目標に沿った内容にすると発表し、新規石炭火力発電への融資は差し控えると公約している。また、ADBのあらゆる業務でジェンダー平等に徹底して努めている。

[白井さゆり 2023年10月18日]

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改訂新版 世界大百科事典 「アジア開発銀行」の意味・わかりやすい解説

アジア開発銀行 (アジアかいはつぎんこう)
Asian Development Bank

アジアおよび大洋州地域の開発途上国の経済開発を促進するため,融資および技術援助を行うことを目的として設立された国際金融機関。略称ADB。本部マニラ。1963年,ECAFE(エカフエ)(〈ESCAP(エスキヤツプ)〉の項参照)閣僚会議で設立構想が具体的に打ち出され,65年マニラで設立協定が採択され,66年8月に発効した。加盟国は63ヵ国・地域で日本をはじめ欧米先進国を含むが,援助の対象となるのは域内途上国である。資本金の払込金とアジア開発銀行債によって資金を調達し,融資を行っている。ほかに加盟国の特別拠出によるアジア開発基金によって長期,低利の融資を行っている。また技術援助も行う。創立以来日本人が総裁を務めており,日本はアメリカと並ぶ最大の出資国で,出資金のほか,アジア開発基金にも出資し,アジア開銀債による資金調達にも協力している。国際機関の中で日本が主導的役割を演じている数少ない例である。世界銀行,米州開発銀行,アフリカ開発銀行等とともに有力な国際開発金融機関。資本金542億万ドル(通常資本財源)(2004年末)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アジア開発銀行」の意味・わかりやすい解説

アジア開発銀行
アジアかいはつぎんこう
Asian Development Bank; ADB

アジア地域の諸国に開発資金を融資する国際銀行。1965年11~12月の第2回アジア経済協力閣僚会議での ADB協定採択に基づき 1966年11月に設立,同年 12月にフィリピンのマニラの本店で業務を開始。アジア,太平洋諸国の経済協力を促進すること,低利,長期融資によって加盟発展途上国の経済的,社会的開発の促進に寄与することを目的とし,国際復興開発銀行(世界銀行)などと協調融資も行なう。原加盟国は日本を含む域内 18ヵ国と 1地域,アメリカ合衆国,ドイツ連邦共和国(西ドイツ)など域外 12ヵ国であったが,その後インドネシア,フランスなどが新規加盟し,2012年現在の加盟国数は域内 47ヵ国と 1地域,域外 19ヵ国,合計 66ヵ国と 1地域である。日本は最大出資国の一つで,日本特別基金も設けられている。活動財源には,通常の貸し付けを行なう通常資本財源,緩和された条件での貸し付けを行なうアジア開発基金(1974.6.発足)があり,ほかに技術援助特別基金などもある。主要借入国は中国,インド,パキスタンで,技術援助ではベトナム,インドネシア,パキスタン向けが多い。部門別の貸し付けは,エネルギー,運輸・通信,法律・経済運営・公共政策が多い。

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百科事典マイペディア 「アジア開発銀行」の意味・わかりやすい解説

アジア開発銀行【アジアかいはつぎんこう】

略称ADB(Asian Development Bank)。ESCAP(エスキャップ)加盟国間の協定に基づき1966年発足。アジア地域の開発のための資金援助,開発プロジェクトの策定,実施のための技術援助や環境ガイドラインの策定も行う国際機関。本部はマニラ。日本および域外加盟国は出資のみ。1994年の第4次増資で応募資本金は約500億ドル。1999年,従来の開発中心の運営方針を貧困削減最重点に転換することを表明。加盟国は域内41ヵ国・地域,域外16ヵ国(1999)。最大の出資国は日本。
→関連項目日本メコン総合開発

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知恵蔵mini 「アジア開発銀行」の解説

アジア開発銀行

アジア・太平洋地域における貧困削減を目指す、67の国と地域からなる国際開発金融機関。1966年12月19日に設立、マニラに本部が置かれており、世界26カ所に事業所がある。最大の出資国は日本と米国で共に出資比率15.7パーセントを占め、歴代総裁はすべて日本人が就任している。主な事業は、開発途上加盟国に対する資金の貸付、技術支援・助言業務、開発目的のための公的・民間支援の促進、開発途上加盟国の開発政策調整支援などで、毎年およそ60億ドルを融資している。

(2013-2-27)

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世界大百科事典(旧版)内のアジア開発銀行の言及

【経済協力】より

…OECD(経済協力開発機構)の下部機構)が結成されている。また世界銀行や地域開発銀行(アジア開発銀行アフリカ開発銀行米州開発銀行)が,先進国の出資金やみずから国際金融市場で債券を発行して得た資金をもとに,途上国に融資を行っているが,これは通常,多国間援助multilateral assistanceといわれる。先進国から発展途上国への資金の流れを援助主体別にみると,その大宗を占めるのはDAC加盟諸国である(1970年代の実績で全体の約8割)が,共産圏諸国(ソ連や中国)や産油国も援助供与を行っている。…

※「アジア開発銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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