炭鉱のメタンガスの排除法の一つ。ガスを切羽や通気坑道に流出させないために,炭層や隣接層からガスを直接吸い集め,坑内気流中に混じらないよう鉄管を通して坑外に誘導することをいう。従来,可燃性ガスを通気によって薄めて坑外に排出しているが,採掘深度が増すにつれてガス発生量が増加し,これを規定以下の濃度に保つには大量の通気量が必要となる。そのためには大きな扇風機と大断面の坑道が必要で,技術的,経済的な困難が伴う。ガス抜きはこれを打開する一方法で,1730年ころイギリスで立坑開削中にガスを捕集したのが世界におけるガス抜きの始まりといわれている。日本では,1934年北海道の新幌内炭鉱で採炭跡の密閉個所内のガスを坑外に誘導して利用したのが初めとされている。現在のようなボアホールと呼ばれるガス抜き孔による積極的なガス抜きは,43年ドイツのマンスフェルトMansfeld炭鉱で開始され,以後広く普及した。炭層の上位あるいは下位の坑道から炭層に向けてボアホールをあけてガスを捕集する地山ガス抜き,沿層坑道から直接炭層にボアホールをあける沿層ガス抜き,密閉個所にパイプを入れてガスを捕集する密閉ガス抜き,地表から炭層にボーリングを下ろす地表ボーリング等があるが,いずれもボアホールに鉄管を挿入し,さらに坑外まで鉄管を敷設してブロワーで濃厚なメタンガスを吸引し,暖房,自家発電等に利用している。
執筆者:大橋 脩作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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