サウンドスケープ

デジタル大辞泉 「サウンドスケープ」の意味・読み・例文・類語

サウンドスケープ(soundscape)

環境の音全体を音風景としてとらえる概念カナダの作曲家マリー=シェーファーが1960年代末に提唱

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「サウンドスケープ」の意味・わかりやすい解説

サウンドスケープ

〈音の景観〉〈音風景〉と訳し,音楽,言語,騒音,自然音,のさまざまな音を聴覚によって把捉する景観をいう。カナダの作曲家マリー・シェーファー(R.Murray Schafar)が1960年代後半に提起した概念で,ランドスケープ(風景)からの造語視覚に頼りがちな近代知覚への批判が込められているが,究極的には嗅覚・味覚・触覚をも含めた五官が活発に働くことを目ざしており,この概念はその目標への里程標といえる。彼はバンクーバーなどいくつかの共同体のサウンドスケープを描きだし,環境の音の多様な層のなかにも緊密な意味の網が張りめぐらされていることを明らかにした。また,現在のみならず歴史的なサウンドスケープの研究へと視野は広がりつつある。さらにこの概念に触発された〈聴く〉ことに焦点をあてた教育・啓蒙活動は,環境との新たな接点を生み,環境への自覚的なかかわりを促す鋭敏な耳を養うこととなり,望ましい音環境の創造(サウンドスケープ・デザイン)という志向を高めている。日本でも1993年に日本サウンドスケープ協会が発足,また環境庁は1996年に〈日本の音風景百選〉を選定している。
→関連項目バックグラウンド・ミュージック

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世界大百科事典(旧版)内のサウンドスケープの言及

【音楽】より

…環境音楽の最初の主張は,人間と環境の間に一定の安定した音空間を作ることであったが,しかしその普及とともに,聴きたくない音楽を強制的に聴かされるという逆説的な結果を引き起こすことになり,現代の〈機能音楽〉の代表的な〈BGM〉は今日大きな問題をかかえこんでいる。カナダの音楽家シェファーR.M.Schafer(1933‐ )は,こうした〈BGM〉の弊害を批判し,〈サウンド・スケープsound‐scape(音の風景)〉という思想をかかげて,人間と外界の世界の調和を目ざした環境音楽のあり方を模索している。なお音楽学の研究分野のなかで,音楽と社会の関連について研究する音楽社会学は,音楽史や音楽美学などよりも文献の数も少なく立ち遅れていたが,1960年代以降,その重要性が認識され,急速に注目を集めるようになった。…

※「サウンドスケープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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