小さなピース(断片)に分割されている一つの絵をばらばらにし,それを元どおりに組み直す遊び。この遊びは,イギリスのJ.スピルズベリーという地図の印刷人が,1760年代に作ったのが最初だという。元は地理の学習用に考案されたもので,地図をばらばらにしたところから,〈切断された地図dissected maps〉と呼ばれていた。初期のものは木製で,ピース一つずつを刻んで作ったために高価であったが,19世紀の終りに型抜きの機械が発明されて,安価に量産されるようになり,普及した。〈ジグソーパズル〉と名づけられたのは,20世紀初めにジグソーjigsaw(糸のこぎり)が発明されてから後のことである。日本では〈はめ絵〉と訳されることが多かった。組み立てるコツは,絵の明瞭な部分と一番外側の部分がピースがわかりやすいので,そこから組んでいくことである。そのため,マニア向きのものには,絵のないものや外側が四角でなく円形のものもある。
執筆者:高木 茂男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
板や厚紙などを曲線形にばらばらに切った断片を、もとの絵柄になるようにはめ込んでゆく遊びで、絵のほかに文字合わせ、数字合わせなどもある知育的玩具(がんぐ)。ヨーロッパで18世紀中ごろ創案されたが、当時イギリスの製図家が地図を境界線で解体できる教材をつくったのが始まりといわれる。それ以後、考えもの(パズル)ゲームとして広く楽しまれるようになった。もとは解体パズルといったが、工具のジグソー(糸鋸(いとのこ))が20世紀にアメリカに伝わり、材料が細分されるようになってから、現在の名称となった。ピクチュア・パズルともいう。
日本にはアメリカから輸入され、1974年(昭和49)東京・上野の国立博物館での名画「モナ・リザ」展の開催を機にモナ・リザのジグソー・パズル熱が盛んになり、成人層にも愛好されている。現在、材料は厚紙が主として使われ、絵柄には名画、各地の名所、観光風景など多くの種類があり、ピース(小片)も500個内外の初心者向きのものから、4000個に及ぶ複雑なものまである。なお、江戸時代中期に知恵板(ちえのいた)という和製玩具が登場、角、円形などの板を集め、いろいろな形を組み立てる子供の遊びがあった。
[斎藤良輔]
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