カルシウムとチタンを含む珪(けい)酸塩鉱物。普通はくさび形、まれに柱状の結晶を示す。くさび石ともいう。無色透明に近いものから黒色不透明のものまで色の変化が多い。各種火成岩、結晶片岩、片麻岩中に副成分鉱物として広く分布する。花崗(かこう)岩ペグマタイト中のものは、しばしばイットリウムを含み、イットロくさび石と称されることがある。英名は化学組成から、くさび石spheneという名は「楔(くさび)」を意味するギリシア語にちなんで命名された。従来は両方の名称が使われていたが、チタン石のほうが先に命名されていたところから、国際鉱物学連合(IMA)は正式名をチタン石に統一した。
[松原 聰]
titanite
化学組成CaTiSiO5の鉱物。単斜晶系,空間群P21/a, 格子定数a0.656nm, b0.872, c0.744, β119.72°, 単位格子中4分子含む。ふつう楔形の板状結晶,また粒状・葉片状結晶の集合。無~黄~緑~灰~褐~赤~黒色,透明~ほとんど不透明,金剛~樹脂光沢。劈開{110}に明瞭,双晶により{221}での裂開も発達。硬度5~5.5, 比重3.5。薄片では淡黄褐~灰褐色,屈折率α1.840~1.950, β1.870~2.034, γ1.943~2.110, 2V(+)17°~56°, 光分散r>v強。Tiの位置はSnに置換され,マラヤ石と固溶体を形成。希土類元素,特にイットリウムに富むものあり。火成岩・変成岩の副成分鉱物として広く産する。特に閃長岩質岩石には大きな斑晶としてみられる。ペグマタイト,スカルン中にも多い。長い間,楔石(sphene)の名前と併用されていた。また榍
執筆者:松原 聰
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
CaTi(SiO4)(O,OH,F).榍(せつ)石,あるいはくさび石ともよばれる.変成岩中に多く産出する.単斜晶系,空間群 C 2/c,格子定数 a0 = 0.656,b0 = 0.872,c0 = 0.744 nm.β = 119°43′.単位格子中に4個の基本組成を含む.へき開{110}.硬度5.5.密度3.45~3.55 g cm-3.CaをNa,希土類元素,Mn,Srが置換し,TiのかわりにAl,Fe3+,Fe2+,Mg,Nbなどが入る.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…チタンは平均して大陸地殻中に0.9重量%含まれ,大陸地殻を構成している元素としては,O,Si,Al,Fe,Ca,Mg,Na,Kに次いで第9番目に位置するほど多量に含まれている。チタンは火成岩中ではFe‐Ti‐O系鉱物やチタン石titanite,spheneCaTiO(SiO4)(くさび石ともいう)として存在し,また,黒雲母,角セン石,輝石などの有色鉱物中にも含まれている。一般に塩基性の火成岩ほど多量のチタンを含んでいる。…
※「チタン石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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