チタン石(読み)ちたんせき(英語表記)titanite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チタン石」の意味・わかりやすい解説

チタン石
ちたんせき
titanite

カルシウムチタンを含む珪(けい)酸塩鉱物。普通はくさび形、まれに柱状の結晶を示す。くさび石ともいう。無色透明に近いものから黒色不透明のものまで色の変化が多い。各種火成岩結晶片岩片麻岩中に副成分鉱物として広く分布する。花崗(かこう)岩ペグマタイト中のものは、しばしばイットリウムを含み、イットロくさび石と称されることがある。英名化学組成から、くさび石spheneという名は「楔(くさび)」を意味するギリシア語にちなんで命名された。従来は両方の名称が使われていたが、チタン石のほうが先に命名されていたところから、国際鉱物学連合(IMA)は正式名をチタン石に統一した。

松原 聰]


チタン石(データノート)
ちたんせきでーたのーと

チタン石
 英名    titanite(sphene)
 化学式   CaTiSiO5
 少量成分  Y,Al,Fe
 結晶系   単斜
 硬度    5~5.5
 比重    3.5~3.6
 色     黄褐,淡褐,橙,黒
 光沢    金剛脂肪
 条痕    白
 劈開    一方向に明瞭
       (「劈開」の項目を参照

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チタン石」の意味・わかりやすい解説

チタン石
チタンせき
titanite

CaTiO(SiO4) 。単斜晶系の鉱物。楔石ともいう。比重 3.5,硬度 5.5。常に微量の鉄 (III) ,アルミニウム,イットリウム,セリウム,ナトリウムなどを含み,そのため褐,黄,緑,黒色など雑多な色調を示す。{110}と{111}面の発達した楔状の結晶として産出することが多く,双晶もよくみられる。花崗岩質岩の副成分鉱物として産出するほか,変成岩中にもしばしばみられる。

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