日本大百科全書(ニッポニカ) 「チタン石」の意味・わかりやすい解説
チタン石
ちたんせき
titanite
カルシウムとチタンを含む珪(けい)酸塩鉱物。普通はくさび形、まれに柱状の結晶を示す。くさび石ともいう。無色透明に近いものから黒色不透明のものまで色の変化が多い。各種火成岩、結晶片岩、片麻岩中に副成分鉱物として広く分布する。花崗(かこう)岩ペグマタイト中のものは、しばしばイットリウムを含み、イットロくさび石と称されることがある。英名は化学組成から、くさび石spheneという名は「楔(くさび)」を意味するギリシア語にちなんで命名された。従来は両方の名称が使われていたが、チタン石のほうが先に命名されていたところから、国際鉱物学連合(IMA)は正式名をチタン石に統一した。
[松原 聰]