供託金(読み)キョウタクキン

デジタル大辞泉 「供託金」の意味・読み・例文・類語

きょうたく‐きん【供託金】

供託所寄託した金銭。例えば、家主賃料借主から受領しない場合に、借主の供託した賃料。
公職選挙候補者立候補の届け出に際し、法令規定によって寄託しなければならない金銭。一定得票数に達しないときは没収される。

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精選版 日本国語大辞典 「供託金」の意味・読み・例文・類語

きょうたく‐きん【供託金】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 供託された金銭。
    1. [初出の実例]「シカゴ市のタクシーでは一台に付いて二千弗の供託金(ケフタクキン)を出して許可されて居るやうな事があります」(出典:旅‐昭和五年(1930)八月号・ドライヴと自動車知識〈相羽有〉)
  3. 特に、公職選挙の候補者が立候補の届出のとき、法令の規定によって供託しなければならない金銭。法定得票数に達しない場合には没収される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「供託金」の意味・わかりやすい解説

供託金
きょうたくきん

公職選挙(町村議会の議員を除く)に立候補する際に、法務局に供託を義務づけられている金員または国債証書をいう。衆議院議員参議院議員町村を除く地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長の選挙に立候補(または推薦の届出を)しようとする者は、その届出に際し、選挙の種類に応じて定められた額の金員または国債証書を供託しなければならない(公職選挙法92条)と定められている。これらの金員と国債証書(供託物)を一般には供託金とよんでいる。供託金は、原則として選挙終了後に返還されるが、一定数以下の得票にとどまったとき、あるいは立候補辞退などの場合には、没収され、国庫または地方公共団体に帰属する。

 供託金制度は、1925年(大正14)の普通選挙法において、泡沫(ほうまつ)候補の防止策として創設され、現行公職選挙法にまで受け継がれた。このことは、供託金制度が被選挙権の行使上、不当な制約にはならないととらえられていることを示しているが、供託金が高すぎるとの批判もみられる。

[佐々木髙雄]

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百科事典マイペディア 「供託金」の意味・わかりやすい解説

供託金【きょうたくきん】

町村議会議員選挙を除く公職選挙において,立候補者が供託所に寄託を要する特定の金額または国債証書(例えば,衆議院議員小選挙区選挙の場合300万円など)。法定得票定数(同,有効投票数の10分の1)に達しない場合,または立候補辞退の場合には没収される。泡沫候補乱立防止を目的とした。
→関連項目供託

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「供託金」の意味・わかりやすい解説

供託金
きょうたくきん

選挙に立候補する者が届け出の際に納入しなくてはならない一定の金額。町村議会議員選挙は除かれる。選挙で得票数が一定数に達しないと没収される。無責任な立候補の乱立を防止するための制度である。供託金の額と没収の基準は選挙によって異なり,衆議院議員総選挙では,供託金は 300万円で,候補者の得票がその選挙区の有効投票総数の 10分の1に達しないと没収される。

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知恵蔵 「供託金」の解説

供託金

町村議会の議員選挙を除いて、立候補するには供託金を納める。これはいわゆる泡沫候補の乱立防止を目的とする。供託金は候補者の得票数がある一定数に達しないと没収される。供託額と没収点は選挙の種類によって異なる。例えば衆議院議員小選挙区選挙の場合は供託額が300万円。得票数が有効投票総数の10分の1に達しなかった場合は没収される。

(蒲島郁夫 東京大学教授 / 2007年)

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世界大百科事典(旧版)内の供託金の言及

【供託】より

…供託の大部分は地代・家賃であって,とりわけ地代・家賃の値上げ紛争のときに行われているのが現状である。ほかに公職選挙立候補の際の供託金という用法もある。 供託は,その機能から(1)弁済供託,(2)担保(保証)供託,(3)執行供託,(4)没取供託,(5)保管供託の5種に大きく分類される。…

【立候補】より

…ただし,衆議院の小選挙区比例代表併立制のもとでは,政党候補者に限り,小選挙区と比例区への重複立候補が認められ(86条の2‐4項),小選挙区で落選しても比例区で当選することができる。〈衆議院〉の項参照),選挙事務関係者および公務員の立候補には一定の制限が置かれており(88,89条),候補者になることのできない公務員が候補者として届け出られた場合には,届出日に公務員を退職したものとみなされ,逆に候補者として届け出た者が,候補者になることのできない選挙事務関係者または公務員になった場合には,立候補を辞退したものとみなされることになっていること(90,91条),立候補の届出または推薦届出には一定額の供託金が必要であること(92条),などである。供託金制度(供託)は,売名立候補や候補者乱立を防ぐ目的で設けられている制度であり,供託金は原則として選挙の終了とともに返還されるが,一定数以上の得票がない場合,および候補者が立候補を辞退した場合には,没収されて,国庫,都道府県,または市に帰属する(93,94条)。…

※「供託金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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