劉長卿(読み)りゅうちょうけい(英語表記)Liú Zhǎng qīng

改訂新版 世界大百科事典 「劉長卿」の意味・わかりやすい解説

劉長卿 (りゅうちょうけい)
Liú Zhǎng qīng
生没年:710?-785?

中国,盛唐から中唐にかけての詩人。字は文房。河間(河北省)の人。青年時代は嵩山(すうざん)(河南省)に住んで勉学にはげんだ。監察御史などの官職を歴任したが,剛直な性格で,権力者に逆らったため,無実の罪で投獄されたり,地方官に左遷されたりした。最後に随州(湖北省)の知事となったので,劉随州と呼ばれる。五言詩にすぐれ,文人宰相権徳輿(けんとくよ)(759-818)は〈五言の長城〉と称賛した。《劉随州詩集》10巻が伝わる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「劉長卿」の意味・わかりやすい解説

劉長卿
りゅうちょうけい
(725?―791?)

中国、盛唐期から中唐期にかけての詩人。字(あざな)は文房。河間(河北省)の人。若いころ嵩陽(すうよう)(河南省)に住んだ。天宝年間(742~755)の進士。晩年、随州(ずいしゅう)(湖北省)刺史(しし)となったことから劉随州とよばれる。剛直で傲慢(ごうまん)なところがあり、詩を書き付ける際に知名度を自負して「長卿」とだけ署名したという。権力者に逆らい、二度、左遷されている。五言詩に優れ、「五言の長城」と称される。詩句に同一表現が目だつが、田園山水描写は、陶淵明(とうえんめい)や王維孟浩然(もうこうねん)に通ずる作風として評価されている。『劉随州文集』10巻、『外集』一巻がある。

丸山 茂]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「劉長卿」の意味・わかりやすい解説

劉長卿
りゅうちょうけい
Liu Chang-qing

[生]景竜3(709)
[没]貞元1(785)
中国,中唐の詩人。河間 (河北省) の人。一説に宣城 (安徽省) の人。字,文房。開元 21 (733) 年進士に及第。監察御史から転運使判官などを経て岳鄂観察使に進んだが,中傷されて左遷され,のち随州 (湖北省随県) 刺史となり終った。それによって劉随州とも呼ばれる。活躍した時代はかなり盛唐にまたがるが,通常中唐の詩人に区分される。穏やかな山水,田園を詠じて激しい感情のほとばしりはないが,巧みな表現,気品に富む詩風で名声があった。五言律詩に特にすぐれ「五言の長城」といわれた。現存の『劉随州詩集』 (10巻) は,同一詩句が重出するなどかなり混乱している。

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