中国、北宋(ほくそう)の官僚文人、詞人。字(あざな)は美成(びせい)、号は清真居士。銭塘(せんとう)(浙江(せっこう)省杭州(こうしゅう))の人。太学生(たいがくしょう)のときに首都開封の繁華なさまをつづった「汴都(べんと)の賦」を献上して文才を認められ、任官して秘書監(宮廷図書館長)、提挙大晟府(たいせいふ)(音楽所長官)などを歴任した。唐代に始まり宋代に流行した歌辞文芸「詞」の作家としてことに有名で、洗練された精巧な形式と、「渾厚(こんこう)和雅」と評される奥深い典雅な作風は、この文学様式の一頂峰であり、南宋文人の模倣作の集(方千里『和清真詞』など)が何種もある。詞集は『清真集』または『片玉詞』2巻。南宋・陳元竜の注を付する『片玉集』10巻がある。
[村上哲見]
『中田勇次郎著『漢詩大系24 歴代名詞選』(1965・集英社)』▽『村上哲見著『中国詩文選21 宋詞』(1973・筑摩書房)』
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…北宋後半になると,詩人文章家として有名な蘇軾(そしよく)(《東坡楽府》)をはじめ,黄庭堅,秦観など,文人官僚はみな詞を作るようになる。北宋末の周邦彦(《片玉詞》《清真詞》)は慢詞の手法を柳永から受けつぎながら,卑俗さを脱して典雅幽遠な詞風を完成した。音楽に通じ,したがって韻律も精密で,後世〈詞家の正宗〉と尊重される。…
※「周邦彦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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