在宅医療(読み)ザイタクイリョウ(英語表記)home medical care

デジタル大辞泉 「在宅医療」の意味・読み・例文・類語

ざいたく‐いりょう〔‐イレウ〕【在宅医療】

自宅での療養を希望する患者に対する医療行為医師の緊急往診定期訪問診療看護師訪問看護など。
[補説]パソコンやテレビ電話機能付き携帯電話などの情報機器を利用して、自宅にいる患者に対して医師が診断・診療を行うことについてもいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「在宅医療」の意味・わかりやすい解説

在宅医療
ざいたくいりょう
home medical care

入院外来ではなく、患者の居宅で行う医療。医療者が往診、訪問し、適切な器具薬剤を利用して治療する。代表的なものには、在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、在宅栄養補助療法(在宅中心静脈栄養療法、在宅径管径腸栄養療法)、鎮痛用の麻薬などによる在宅注射療法、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導、訪問栄養指導などさまざまな種類のものがある。従来は病室で行われていた内容だが、患者の希望や便宜のために広がりつつある。

 厚生省(現、厚生労働省)は1986年(昭和61)、高齢者対策として「高齢者の多くは住み慣れた地域社会のなかで家族とともに暮らしたい願望を持つので、家庭での介護機能を強化し、在宅サービスシステムを確立する」との方向性を打ち出し、1994年(平成6)には在宅医療が保険給付の対象に繰り入れられた。2006年(平成18)には在宅療養支援診療所の整備が始まった。

 在宅医療は一般的には入院医療より費用がかからない。長期入院による医療費増加を懸念する厚生労働省は、関連の診療報酬点数を上げることで在宅医療に誘導している。

田辺 功]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「在宅医療」の意味・わかりやすい解説

在宅医療
ざいたくいりょう

自宅に医療機器を置き看護師などの訪問指導を受けながら治療するシステム。 1991年厚生省は,10年計画で,保健所を中心とする地域的なシステムを全国的に展開した。対象となるのは,腎機能不全に対する自己腹膜灌流法,呼吸器障害に対する酸素吸入療法,食事のとれない人のための中心静脈栄養法などである。このシステムは,患者のクオリティ・オブ・ライフ (生活の質 ) を高め,医療費を抑制するためにも有効とされている。しかし現実には,保健所の体制や,家族の支援体制の整備は立ち遅れている。

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