大弐三位(読み)ダイニノサンミ

デジタル大辞泉 「大弐三位」の意味・読み・例文・類語

だいに‐の‐さんみ〔‐サンヰ〕【大弐三位】

平安中期の女流歌人藤原宣孝の娘で、母は紫式部。名は賢子大宰大弐だざいのだいに高階成章たかしなのなりあきらの妻。家集に「大弐三位集」がある。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「大弐三位」の意味・読み・例文・類語

だいに‐の‐さんみ‥サンヰ【大弐三位】

  1. 平安中期の女流歌人。藤原宣孝と紫式部との子。本名は賢子(けんし)。従三位典侍となり、藤三位(とうさんみ)また祖父為時の官名から越後の弁と称し、大宰大弐高階成章(たかしなのなりあきら)と結婚して大弐三位と呼ばれるようになった。上東門院女房、後冷泉天皇乳母などを勤め、歌は「後拾遺和歌集」以下に見える。家集に「藤三位集(大弐三位集)」がある。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大弐三位」の意味・わかりやすい解説

大弐三位
だいにのさんみ

生没年不詳。平安中期の女流歌人。藤原宣孝(のぶたか)の娘で、母は紫式部。本名は賢子。越後弁(えちごのべん)、藤三位(とうさんみ)ともよばれた。上東門院彰子(じょうとうもんいんしょうし)に仕え、藤原頼宗(よりむね)・同定頼(さだより)らとの恋愛を経て藤原兼隆(かねたか)と結婚、後冷泉(ごれいぜい)天皇の乳母(うば)となったが、のち東宮権大進高階成章(とうぐうのごんのだいしんたかしなのなりあき)に嫁し、天皇の即位とともに従三位典侍(じゅさんみてんじ)に昇った。1049年(永承4)「内裏歌合(だいりうたあわせ)」、1050年「祐子内親王家(ゆうしないしんのうけ)歌合」などに出詠、家集に『大弐三位集』がある。穏健典雅な歌風で、「有馬(ありま)山猪名(ゐな)の笹原(ささはら)風吹けばいでそよ人を忘れやはする」(『後拾遺(ごしゅうい)集』恋二、小倉(おぐら)百人一首)などが有名である。

犬養 廉]

『南波浩校注『紫式部集 付大弐三位集・藤原惟規集』(岩波文庫)』『角田文衛著『紫式部の身辺』(1965・古代学協会)』


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改訂新版 世界大百科事典 「大弐三位」の意味・わかりやすい解説

大弐三位 (だいにのさんみ)
生没年:999(長保1)-?

平安中期の女流歌人。父は山城守藤原宣孝,母は紫式部。本名賢子。一条帝の中宮彰子(上東門院)に仕え,初め藤原兼隆妻,のちに大弐高階成章妻。のちの後冷泉帝の乳母となり,殊遇をうけて従三位典侍となる。越後の弁,弁の乳母,藤三位などとも呼ぶ。家集《大弐三位集》(63首)があり,勅撰集に37首入集。穏健な歌風で,人柄も明朗温和,晩年は平和な結婚生活の中に,80余歳の長寿を保った。《小倉百人一首》に〈有馬山猪名(いな)の笹原風ふけばいでそよ人を忘れやはする〉(《後拾遺集》)がとられている。
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朝日日本歴史人物事典 「大弐三位」の解説

大弐三位

没年:永保2頃(1082)
生年:長保2頃(1000)
平安時代の歌人。越後弁,弁乳母,典侍,藤三位などと呼ばれた。藤原宣孝と紫式部の子。母と同じく上東門院彰子に出仕し,親仁親王(後冷泉天皇)の乳母となる。長元5(1032)年上東門院菊合,長暦1(1038)年源大納言家歌合,永承4(1049)年内裏歌合,翌5年祐子内親王歌合などに出詠。詠歌には公式的・観念的なものが多い。藤原兼隆と,のちには高階成章と結婚しており,また幾人かの恋人があるなど,浮いた話もなく何ごとにも慎重で感情を表に出さない紫式部とは対照的で,情熱的で開放的なところがあった。天喜2(1054)年従三位に叙位される。和泉式部とも歌の贈答がある。

(松田豊子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大弐三位」の解説

大弐三位 だいにのさんみ

1000?-1082? 平安時代中期の歌人。
長保2年?生まれ。藤原宣孝・紫式部の娘。上東門院につかえ,藤原兼隆と結婚。万寿2年に親仁親王(後冷泉(ごれいぜい)天皇)の乳母となる。のち高階成章(たかしなの-なりあき)と再婚,従三位・典侍にすすむ。歌は「後拾遺和歌集」以下の勅撰(ちょくせん)集に39首みえる。永保2年?死去。83歳?名は賢子。通称は別に越後弁,藤三位。家集に「大弐三位集」。
【格言など】有馬山猪名(ぬな)の笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする(「小倉百人一首」)

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世界大百科事典(旧版)内の大弐三位の言及

【藤原宣孝】より

…この年4月平野臨時祭の勅使となり,7月相撲召合にも武官として列席,10月殿上音楽にも出仕している。紫式部との間には賢子(弁乳母,大弐三位ともよばれる)が生まれた。1001年4月25日に流行の疫病にかかって没した。…

※「大弐三位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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