ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小田稔」の意味・わかりやすい解説
小田稔
おだみのる
[没]2001.3.1. 東京
物理学者。 1944年大阪大学理学部卒業。 1950年大阪市立大学助教授に就任するが,1953年には招かれてマサチューセッツ工科大学で研究。 1956年東京大学原子核研究所教授,1963年再びマサチューセッツ工科大学教授。帰国後の 1966年,文部科学省宇宙科学研究所 (→宇宙航空研究開発機構 ) の前身の一つ,東京大学宇宙航空研究所教授,同所長を経て 1988年理化学研究所理事長,1994~96年国際高等研究所長,東京情報大学学長。第2次世界大戦中,静岡県島田で行なわれたマイクロ波兵器開発プロジェクトで大出力マグネトロンの開発に阪大物理学科学生として朝永振一郎,小谷正雄,渡瀬譲らと参加。戦後は宇宙線研究の分野に進み,アメリカ留学中の 1963年,ハツカネズミの回すかごの視覚効果にヒントを得て,視野が広く,X線源の方角を精度よく決定する装置「すだれコリメータ」を考案,1964年にはさそり座のX線源が星状のものであることを世界にさきがけて発見した。帰国後もロケットやX線天文衛星などに同コリメータを搭載して観測,日本のX線天文学の水準を世界の主導的位置にまで高めた。また多分野の境界領域の研究の振興にも尽力。 1975年学士院賞恩賜賞,1983年朝日賞を受賞,1993年文化勲章を受章。
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