戌の日(読み)イヌノヒ

デジタル大辞泉 「戌の日」の意味・読み・例文・類語

いぬ‐の‐ひ【×戌の日】

十二支の戌に当たる日。犬は安産といわれることから、妊婦が妊娠五か月目のこの日に帯祝いをする習慣がある。→帯祝い岩田帯

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精選版 日本国語大辞典 「戌の日」の意味・読み・例文・類語

いぬ【戌】 の 日(ひ)

十二支の戌に当たる日。俗に犬は多産、または安産と信じられて、妊婦がこれにあやかろうと、五か月目のこの日に腹帯をする慣習がある。
※雑俳・柳多留‐五二(1811)「戌の日にばばア尻尾(しっぽ)を振て来る」

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改訂新版 世界大百科事典 「戌の日」の意味・わかりやすい解説

戌の日 (いぬのひ)

十二支の戌にあたる日をいい,吉凶さまざまな俗信がある。妊婦が妊娠5ヵ月目の戌の日に岩田帯をする風習は広い。これは犬が多産で産が軽いと信じられたためだが,戌の日にお産をすれば安産だとか,この日に夫婦が交われば妊娠するともいう。また麦作地帯では,戌の日に麦まきすると〈犬食わず〉といい,その麦を食えずに死ぬ者が出るといって嫌う。この禁忌が穀物将来説話と結びつけて語られる場合も多くみられる。昔,弘法大師が唐に行った時,麦を竹の杖の中に隠して持ち出そうとした。その時,犬がこれに気づいて,弘法大師にほえかかったが,杖の中の麦が見つからなかったため,犬は無実の罪で殺されてしまった。この日がちょうど旧暦10月の戌の日だったことから,この日には犬の毛もさわるなといわれ,麦まきもするものでないとされたのである。このほか,戌の日に着物を裁つと着物がふえるといい,また牛馬商がこの日を凶日としているところもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戌の日」の意味・わかりやすい解説

戌の日
いぬのひ

十二支の戌にあたる日。干支(えと)によって吉凶を判断することは広く行われている。戌の日については、出産の帯祝いをする吉日を戌の日としている土地が多い。妊娠5か月目の戌の日に里の母親または産婆紅白の帯を妊婦に締めて祝いをする。犬は産が軽いからそれにあやかるためという。産育とは反対に、牛馬商人は戌の日を厄日としているが、その一方、戌の日に馬に種付けをすればかならず受胎するといっている。

[大藤時彦]

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