月岡雪鼎(読み)つきおかせってい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「月岡雪鼎」の意味・わかりやすい解説

月岡雪鼎
つきおかせってい

[生]宝永7 (1710). 近江日野
[没]天明6 (1786).12.4. 大坂
江戸時代中期の浮世絵師本名は木田昌信。通称丹下。号は雪鼎信天翁,錦童など。大坂へ出て京狩野狩野永敬師事した高田敬輔に学び,のち西川祐信らの感化を受けて風俗画に転じた。さらに叙情的で品格のある美人画様式を確立,法橋法眼に叙せられた。ほかに絵本挿絵,春画も多く描き,上方浮世絵界の中心的人物だった。主要作品に『夏姿三美人図』など。養子の雪斎は雪鼎の画風を形式的に守って法橋,法眼となり,雪斎の養子の月岡芳年は明治期の浮世絵界で活躍した。(→浮世絵

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朝日日本歴史人物事典 「月岡雪鼎」の解説

月岡雪鼎

没年:天明6.12.4(1787.1.22)
生年:宝永7(1710)
江戸中期の画家。本姓は木田氏。名は昌信。丹下,信天翁などと号す。近江(滋賀県)日野の人。子に画家の雪斎がいる。はじめ同郷の高田敬輔に師事し,のちに西川祐信の画風を慕った。宝暦初年大坂に移り,祐信風の絵本で名声を得る。明和年間(1764~72)ころから優艷な肉筆美人画を多数制作し,画譜『金玉画府』(1771)では浮世絵擁護論を説いた。春画も得意とした。祐信没後の関西浮世絵界の中心人物となる。作品に「三美人図」(1756,米・フリア美術館蔵),「笛吹美人画」(出光美術館蔵),「蛍狩り図」(東京国立博物館蔵)など。

(佐藤康宏)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「月岡雪鼎」の解説

月岡雪鼎 つきおか-せってい

1710-1787* 江戸時代中期の画家。
宝永7年生まれ。月岡雪斎,月岡雪渓の父。高田敬輔(けいほ)に師事。西川祐信(すけのぶ)風の豊麗な肉筆美人画や絵本で名をなし,魚や鳥などの絵もたくみであった。大坂浮世絵の大家。法眼。天明6年12月4日死去。77歳。近江(おうみ)(滋賀県)出身。本姓は木田。名は昌信。別号に信天翁(しんてんおう),露仁斎など。作品に「笛吹美人画」「蛍狩り図」など。

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