李賀(読み)リガ(その他表記)Lǐ Hè

デジタル大辞泉 「李賀」の意味・読み・例文・類語

り‐が【李賀】

[790~816]中国、中唐期の詩人。福昌(河南省)の人。あざな長吉ちょうきつ韓愈知遇を得たが、不遇のまま早世。浪漫的、幻想的な詩風で有名。

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精選版 日本国語大辞典 「李賀」の意味・読み・例文・類語

り‐が【李賀】

  1. 中国、唐代の詩人。字(あざな)長吉。唐の宗室の出身と自称。韓愈の知遇を受けた。その詩の夢幻的なイメージ、奇異な雰囲気は、中国詩史でもほとんど孤立した位置を占め、鬼才と評される。詩集「李賀歌詩篇」四巻がある。(七九〇‐八一六

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改訂新版 世界大百科事典 「李賀」の意味・わかりやすい解説

李賀 (りが)
Lǐ Hè
生没年:791-817

中国,中唐の詩人。字は長吉,ために李長吉ともいう。福昌(河南省宜陽県)の人。10代にして韓愈に詩才を認められて科挙を目ざしたが,韓愈の推薦にもかかわらず,反感を抱く者たちに受験をはばまれ,失意のうちに帰郷した。以後中央官界への道は閉ざされ,一時微官を得たこともあるが,27歳で夭折した。その詩人としての生活は,朝に驢馬にまたがって外出し,佳句を得ては錦の袋に入れ,夕刻帰宅して完成させるのが日課だったという。〈鬼才〉とよばれ,中国の詩史上特異な存在であり,しばしばフランスの象徴派詩人に比べられてきた。その詩は李賀みずからが愛読書と明言する《楚辞》とおなじく,しばしば超現実の世界を歌う。おのおのの詩句は孤立性が強く,特異な比喩を用い,新しい造語も多い。また強烈な色彩感覚を特徴とする。後世への影響もかなり大きく,なかでも晩唐の詩人李商隠はその作品および人物に対してひかれるところが多く,みごとな詩人伝〈李賀小伝〉を書いた。近代では,清末のロマンティックな革命家譚嗣同,そして魯迅,毛沢東らが李賀にひかれた人々であった。《李賀歌詩編》4巻が伝わる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「李賀」の意味・わかりやすい解説

李賀
りが
(790―816)

中国、中唐の幻想詩人。字(あざな)は長吉(ちょうきつ)。昌谷(しょうこく)(河南省)の中小地主の出身。20歳のとき、彼の才を認めた韓愈(かんゆ)の推薦を得て進士試験に臨んだが、父の名晋粛(しんしゅく)の晋と進士の進が同音だから受験を遠慮せよとの説が出て、官途を断念せざるをえなかった。その詩は絢爛(けんらん)と凄絶(せいぜつ)を兼ね合わせた幻想の世界を得意とし、作風ペシミズムとデカダンスに塗り込められて暗い。美女の亡霊、深山の妖(あや)かし、墓前の鬼火などを好んで詩題としたため、後世の批評家から「鬼才絶」(冥界(めいかい)の異能力者)と称されるに至った。わずか27歳で夭逝(ようせい)したが、そのとき「天帝が白玉の高楼を建てた祝いに、詩を作らせようと私をお召しになる」と母に告げたという。ここから文人の死を「白玉楼中の人となる」との成語を生んだ。『李長吉歌詩』四巻がある。

[野口一雄]

『荒井健注『中国詩人選集14 李賀』(1959・岩波書店)』『斎藤晌著『漢詩大系13 李賀』(1967・集英社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李賀」の意味・わかりやすい解説

李賀
りが
Li He

[生]貞元7(791)
[没]元和12(817)
中国,中唐の詩人。昌谷 (河南省宜陽県) の人。字,長吉。韓愈の知遇を得,その推薦で元和5 (810) 年進士を受験したが,その才をねたむ者から,父の名が晋粛であるから,その子が進士となるのは晋と進が同音で父の諱 (いみな) をおかすと異議が出て失格となり,翌年奉礼郎の卑職についたが,同8年辞職,失意のまま早逝した。その詩は奇異な用語に富み,題材にも好んで超自然的な要素を扱い,鬼気迫る幻想の世界をつくりあげて,中唐の鬼才といわれた。挫折した人生への絶望感を屈折した表現でうたい,古来難解とされるが,特異な魅力をもち愛好者も多い。詩集『李賀歌詩篇』 (4巻) ,『外集』 (1巻) がある。

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百科事典マイペディア 「李賀」の意味・わかりやすい解説

李賀【りが】

中国,中唐の詩人。河南省福昌の人。字は長吉。唐の皇室の一門だというが,進士の試験にも不合格,韓愈(かんゆ)に詩才を認められたが,不遇の中に若死した。異常にさえた感覚で,神話的空想の世界を,幽艶(ゆうえん)な雰囲気に歌いあげた鬼才であった。詩集《李賀歌詩篇》。

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世界大百科事典(旧版)内の李賀の言及

【中国文学】より

…韓愈を中心とするグループには異色の詩人がいた。異様な幻想美の世界を作り出した短命の詩人李賀の〈鬼才〉を発見し賞賛したのは彼であったという。韓愈と白居易の時代(およそ766‐835)は中唐とよばれ,それ以後(唐の滅亡の年907まで)を晩唐とよぶ。…

【唐詩】より

…韓愈の詩の評価が後になるほど高くなることは杜甫にやや似るが,日本ではいっそう遅れる。彼のグループの若き鬼才李賀は異常な感覚をもって新しい美の世界をひらいたが,その認識と鑑賞はさらに遅れ,江戸時代の末に詩集が翻刻されて初めて全貌が知られるようになる。 晩唐(836ころ‐907)の傑出した詩人は杜牧と李商隠で,杜牧は軽快な筆致の詩を作ったが,李商隠の恋愛を主題とし象徴的手法を用いた七言律詩は,李賀とも異なった美の世界を立てた。…

※「李賀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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