改訂新版 世界大百科事典 「線織面」の意味・わかりやすい解説
線織面 (せんしょくめん)
ruled surface
空間で直線上の1点を固定して,この直線を定曲線に沿って動かすことによって得られる曲面を錐面conical surfaceと呼び,空間で直線を定曲線に沿って平行に動かすことによって得られる曲面を柱面cylindrical surfaceと呼ぶ。また,直線を一つの空間曲線に接するように動かすことによって得られる曲面を接線曲面tangent surfaceと呼ぶ。これらの曲面のように,空間で直線を一定の法則に従って動かすことによって得られる曲面を一般に線織面と呼ぶ。線織面を描く各直線は母線generating lineと呼ばれる。錐面,柱面および接線曲面では,その上の点Pでの接平面はPを通る母線に沿って曲面に接しているので,これらの曲面の部分は平面上に伸び縮みなく展開することができる。このような性質をもたない線織面も存在する。一葉双曲面や双曲放物面はその例である。線織面のガウス曲率は≦0で,ガウス曲率が恒等的に0である曲面は錐面,柱面,接線曲面のいずれかである。
執筆者:中岡 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報