(読み)シュン(英語表記)Shùn

デジタル大辞泉 「舜」の意味・読み・例文・類語

しゅん【舜】

中国太古の伝説上の聖天子五帝一人。姓は(有虞)、名は重華ちょうかぎょう帝の信任を得て摂政となる。帝の没後位を譲り受けて天子となり、治水に功のあった宰相禅譲したという。尭と並んで代表的な聖帝で、儒家に尊崇された。

しゅん【舜】[漢字項目]

人名用漢字] [音]シュン(呉)(漢)
中国古代の伝説上の聖天子の名。「尭舜ぎょうしゅん
[名のり]きよ・とし・ひとし・みつ・よし

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精選版 日本国語大辞典 「舜」の意味・読み・例文・類語

しゅん【舜】

  1. 中国古代の伝説上の聖天子。姓は虞(ぐ)。名は重華。五帝の一人。先帝堯(ぎょう)と並称して「堯舜」という。有虞氏

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普及版 字通 「舜」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 13画

(旧字)
12画

(異体字)
16画

[字音] シュン
[字訓] ひるがお

[説文解字]

[字形] 象形
殷の神話的祖神とされる舜の神像。下に両足を垂れている形。卜文の字形に側面形にしるしたものがあり、殷の祖神(き)と解されているが、舜も帝(ていこく)ともいわれ、(きょく)に従う形に近く、神話としても舜・の間に関係がある。〔説文〕五下に作り、「艸なり。楚には之れを(ふく)と謂ひ、秦には之れを(けい)と謂ふ。地に(まん)し、生じてぬ。象形」(段注本)とするが、字形は草の象ではない。地連華の字は(しゆん)。〔説文〕一下に「木(もくきん)なり」とする字である。

[訓義]
1. 殷の祖神の名、帝舜有虞氏。
2. ひるがお。
3. と通じ、むくげ
4. 俊と通じ、帝舜をまた帝俊としるすことが多い。

[古辞書の訓]
立〕 キヨシ・サカシ・サイハヒ・タカシ

[部首]
〔説文〕五下部首とし、(こう)の一字を属する。「榮なり」と訓し、〔玉〕には「木榮なり」という。花としての部立てであるが、用例のない字である。

[声系]
〔説文〕一下)声としてを収め、「木なり。さき、(くれ)につるなり」という。(瞬)は〔説文〕未収。その字はまたに作る。

[語系]
帝舜のsjiunを、〔山海経〕などにまた帝俊tziunに作る。声近くして通用したものであろう。

[熟語]
舜英舜華舜琴舜犬舜日舜民

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改訂新版 世界大百科事典 「舜」の意味・わかりやすい解説

舜 (しゅん)
Shùn

中国の神話にみえる太陽神。《山海経(せんがいきよう)》に〈帝俊〉としてみえ,その妻羲和(ぎか)は十日を生み,常羲(じようぎ)(嫦娥)は十二月を生んだ。またその妻娥皇(がこう)は三身の国を生んだが姚(よう)姓で,四鳥を使者とした。この四鳥は,卜辞(ぼくじ)に四方の風神としてみえるもので,この伝承は明らかに殷人のものであり,殷がその王朝による支配を,神話的に表現したものとみられる。卜辞にみえる舜の字釈は,王国維の《卜辞所見殷先公先王考》にみえ,呉其昌の《続考》で補説されている。舜の父は瞽叟(こそう)で暗黒神。舜の庶弟の象(しよう)と謀って舜を殺そうとするが失敗し,象はのち南方の有鼻の国に封ぜられた。舜は南巡して蒼梧(そうご)の野に崩じて九疑山に葬られたが,この九疑の神が楚巫の祀(まつ)る最高神で,《楚辞》離騒に歌われ,舜のあとを追うて湘水(しようすい)に没した二妣の娥皇・女英は,湘君・湘夫人になったという。四鳥を使う話は,《書経》尭典に羲仲・羲叔・和仲(かちゆう)・和叔の四方牧民の官に転化している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「舜」の意味・わかりやすい解説


しゅん

中国、太古の伝説的な聖人の帝王。五帝の一人。姓は虞(ぐ)(有虞(ゆうぐ))、名は重華(ちょうか)。盲目の父、義母、異母弟の悪行に耐えて孝道を尽くし、30歳のとき推されて帝堯(ぎょう)にまみえ、与えられた試練を成し遂げて信任を得、50歳で堯の摂政となった。堯が亡くなったのち、その子に位を譲ろうとしたが、人心が舜に帰したので、ついに61歳で帝位についた。「天下、徳を明らかにする、皆、虞帝より始まる」(『史記』五帝本紀)といわれる聖人であったが、帝位について39年、南への巡狩の途中死亡したという。舜ののち禹(う)が帝位を継いだが、この堯、舜、禹の3代は儒家によって、禅譲による帝の交代がなされた理想的な世であったとされている。

[安倍道子]

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百科事典マイペディア 「舜」の意味・わかりやすい解説

舜【しゅん】

中国,古代神話・伝説上の天子で太陽神でもある。悪い親と弟の殺害計画をのがれつつ孝を尽くし,四岳の推挙により(ぎょう)を補佐,受禅即位したとされる。のち治水に成功した(う)に禅譲したという。後世,聖徳ある帝王の模範として尭舜と併称。禅譲伝説には未開社会における首長推薦制の反映をみる説もある。〈三皇五帝〉の中の五帝の一人に数えられる。
→関連項目禅譲放伐

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「舜」の意味・わかりやすい解説


しゅん
Shun

中国古代の五帝 (→三皇五帝 ) の1人。虞の人で,有虞 (ゆうぐ) 氏,名は重華。 (ぎょう) に仕え,その禅譲 (→禅譲放伐 ) を受け天子となる。堯と並ぶ伝説上の聖天子。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「舜」の解説

舜(しゅん)
Shun

中国の伝説上の帝王。五帝の一人。姓は虞(ぐ),名は重華(ちょうか)。よく親に仕え,堯(ぎょう)の譲りを受けて天子となり,治水に功のあった禹(う)に位を譲ったという。

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旺文社世界史事典 三訂版 「舜」の解説


しゅん

中国の伝説的帝王。五帝のひとり
堯 (ぎよう) と並び称される中国太古の伝説的な聖天子。父・義母・異母弟の悪行に耐えて孝をつくし,堯に仕えてその信任を得,位を譲られたと伝えられる。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【巡狩】より

…巡守とも書く。《書経》舜典によると,は5年に1度天下をめぐり,諸国の君主に政治のやり方を奏上させ,舜は調べて功績があれば車馬や衣服を与えたといわれる。歴史上,大規模な巡狩を行ったのは秦の始皇帝で,天下を統一すると文武百官をしたがえて毎年のように各地を巡幸した。…

【湘君・湘夫人】より

…湖南省にある湘水の神とされ,また洞庭湖の水神でもあって,湖中の君山にその祠廟がある。《山海経(せんがいきよう)》に洞庭の山に住む天帝の2人の娘のことが見え,漢の《列女伝》では,この2人は尭帝の娘で舜の妃である娥皇と女英であって,舜が蒼梧で死ぬと2人は湘水に身を投げてその神になったのだとされている。湘君と湘夫人はこの2女神に比定されるが,一説には湘君は男神,湘夫人は女神で,2人は夫婦なのだともされる。…

【中国神話】より

…十日は十干で,旬(十日)をもって暦を構成する殷には重要な神話的事実であるから,羿は夷の別系の神であろう。殷の祖神は舜(しゆん)で,その妻羲和(ぎか)は十日,常羲(じようぎ)は十二月を生んだ。舜は太陽神で,四鳥を使って四方に帝意を伝えさせ,これを治めた。…

※「舜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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