中国古代の地理書。18巻。「五蔵山経」「海外四経」「海内四経」「大荒四経」「海内経」の五部からなり、おそらく2世紀以前には成立していたものと思われる。伝えられる限りでもっとも古くこの書を整理した前漢末の劉秀(りゅうしゅう)(歆(きん))の叙録によれば、この書は、禹(う)と益(えき)の治水事業から生まれたとされるが、作者は不明。いま伝えられるテキストは、東晋(しん)の郭璞(かくはく)(276―324)の注する18巻本である。洛陽(らくよう)を中心とし、東西南北に分かれる地理、山脈、河川などのありさまを記すが、物産、風俗、さらには怪獣、妖怪(ようかい)、神などについての記録があり、とくに崑崙(こんろん)山や西王母(せいおうぼ)の話などが有名である。古くは絵入りのテキストが流行したらしいが、いまは伝わらない。中国人の豊かな想像力の源泉ともいうべきこの書は、神話、伝説の研究にも不可欠の資料である。日本には宇多(うだ)天皇(在位887~897)のときに伝来し、江戸初期には和刻本も出た。
[竹田 晃]
『前野直彬訳『山海経・列仙伝』(『全釈漢文大系33』1975・集英社)』
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…元来は図が付いていたが,そのままの形では現在に伝わらない。晋の郭璞(かくはく)に注があり,清の郝懿行(かくいこう)《山海経箋疏》がより詳しい注と校定を加えている。【小南 一郎】。…
…ここで一角獣や人魚についての基本的な記述はほぼ定まり,13世紀のトマ・ド・カンタンプレThomas de Cantinpréの《万象論》,14世紀のマンデビルJ.Mandevilleの《東方旅行記》などの中世文芸を通じて怪物誌が広く一般に浸透することになる。また中国の《山海経(せんがいきよう)》は,東洋における怪物記述の宝庫であり,形天と呼ばれるブレミュアエと酷似する奇形人種などが論じられている。15~16世紀にはいると,西欧では宗教改革期の混乱の中で,世の終末を告げる異兆としての奇形の誕生に関心が向かった。…
…唐の則天武后の時代を舞台とし,天界から貶謫(へんたく)された100人の仙女の行方を求めて唐敖(とうごう)が海外諸国を経めぐる話を骨子としているが,後半,100人の仙女たちの博学多識ぶりが披露され,ために,男女平等論を唱えた小説とも評価されている。経めぐる海外諸国は古代の地理書《山海経(せんがいきよう)》に見えるもので,異色のパロディ小説ともなっている。【中野 美代子】。…
…昇仙すべき場所は崑崙山であるが,はるかなる山岳は,どこも暗黒と妖怪が支配していた。漢代(前206‐後220)に成立したと思われる空想的地理書《山海経(せんがいきよう)》は,そのような諸方の山岳と妖怪についての集大成である。そこに登場する怪獣たちは,多くは(1)現実に存在する動物のある器官が欠損しているもの(たとえば1本足の牛である夔(き),首なし人間の形天など),(2)ある器官が過剰なもの(たとえば3本足のカラス,頭一つに体が三つある三身民など),(3)器官の位置が間違っていたり,さまざまな動物の器官が混在しているもの(たとえば目が背中についている羊の訑(はくい),馬身人面で鳥の翼をもつ英招,蛇身人面の燭陰など),いずれも,ビュフォンの怪物の定義にぴったり合致するものばかりである。…
※「山海経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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