山海経(読み)せんがいきょう(英語表記)Shan-hai-jing

  • さんかいきょう
  • さんかいきょう ‥キャウ
  • さんかいきょう〔サンカイキヤウ〕
  • せんがいきょう センガイキャウ
  • せんがいきょう〔センガイキヤウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

中国,古代の地理書。 18巻。著者未詳。 (う) が治水の際に,部下の伯益の協力を得て編んだとされるが,もちろん仮託である。『南山経』『西山経』『北山経』『東山経』『中山経』のいわゆる「五蔵山経」が東時代の作で最も古く,そのほかは戦国時代の作をの劉きん (?~23) が校訂して『海外南・西・北・東経』 (4巻) ,『海内南・西・北・東経』 (4巻) を付加し,郭璞 (かくはく。 276~324) が注記して『大荒東・南・西・北経』 (4巻) ,『海内経』 (1巻) を付加してほぼ現在の形になったと推定される。「五蔵山経」は山名を中心に産物鳥獣神霊河川などを山の南北に分けて述べ,地理書にふさわしい部分もあるが,神話伝説に基づく想像的記述も多く,のちに成立する編ほど,その割合がふえている。古代中国の自然観を知るうえに貴重な書であり,また話の記載が比較的少い中国古典中,例外的存在として重要視される。日本には早くから伝来した記録があり,また寛文 10 (1670) 年の刊本がある。

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百科事典マイペディアの解説

古代の中国地理書。序には禹のの伯益の作と伝える。現存本は18巻。古い部分は戦国時代(紀元前5―3世紀)の作と推定される。主要な山系(五蔵山経)を中心に,その周辺の山川動植物のこと,遠国とその住民に関する神話・伝説などを記す。中国神話の基本資料として重要。晋の郭璞(かくはく)が注釈を加えている。日本には9世紀末に伝来した。
→関連項目荒海障子

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世界大百科事典 第2版の解説

〈さんかいけい〉とも読む。中国古代の地理書。山々の系列に従って,各地の山に産する動植物や鉱物が記述されるが,そうした産物には空想的なものが多く,また山川に住む怪物や神々についての記述も含まれる。中国神話研究の基礎資料の一つ。最初の5編,〈五蔵山経〉の部分は戦国時代に成立していたであろうが,それ以下の部分は・漢時代につぎつぎに付加されたと推定される。後に付加された部分ほど空想的な要素が強い。元来はが付いていたが,そのままの形では現在に伝わらない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中国古代の地理書。18巻。「五蔵山経」「海外四経」「海内四経」「大荒四経」「海内経」の五部からなり、おそらく2世紀以前には成立していたものと思われる。伝えられる限りでもっとも古くこの書を整理した前漢末の劉秀(りゅうしゅう)(歆(きん))の叙録によれば、この書は、禹(う)と益(えき)の治水事業から生まれたとされるが、作者は不明。いま伝えられるテキストは、東晋(しん)の郭璞(かくはく)(276―324)の注する18巻本である。洛陽(らくよう)を中心とし、東西南北に分かれる地理、山脈、河川などのありさまを記すが、物産、風俗、さらには怪獣、妖怪(ようかい)、神などについての記録があり、とくに崑崙(こんろん)山や西王母(せいおうぼ)の話などが有名である。古くは絵入りのテキストが流行したらしいが、いまは伝わらない。中国人の豊かな想像力の源泉ともいうべきこの書は、神話、伝説の研究にも不可欠の資料である。日本には宇多(うだ)天皇(在位887~897)のときに伝来し、江戸初期には和刻本も出た。

[竹田 晃]

『前野直彬訳『山海経・列仙伝』(『全釈漢文大系33』1975・集英社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

中国の地理書。禹(う)の撰またはその治水を助けた伯益の撰と伝える。周・秦以来の書。現行本は一八巻。山とそこから流れる川、産出生育する金石草木動物、中国周辺の国とその住民、伝説などを記す。想像や伝説上の地名も含まれ、中国神話の数少ない資料ともなっている。晉の郭璞(かくはく)の注が有名。さんかいきょう。

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

現存する中国最古の地理書18巻
洛陽を中心に東西南北に分かれる山脈や河川などの様子を記す。さらに,各地域の物産,風俗,妖怪,神などについての記録がある。中国人の豊かな想像力を示すこの書は,神話・伝説の研究にも不可欠のものである。

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世界大百科事典内の山海経の言及

【怪物】より

…ここで一角獣や人魚についての基本的な記述はほぼ定まり,13世紀のトマ・ド・カンタンプレThomas de Cantinpréの《万象論》,14世紀のマンデビルJ.Mandevilleの《東方旅行記》などの中世文芸を通じて怪物誌が広く一般に浸透することになる。また中国の《山海経(せんがいきよう)》は,東洋における怪物記述の宝庫であり,形天と呼ばれるブレミュアエと酷似する奇形人種などが論じられている。15~16世紀にはいると,西欧では宗教改革期の混乱の中で,世の終末を告げる異兆としての奇形の誕生に関心が向かった。…

【鏡花縁】より

…唐の則天武后の時代を舞台とし,天界から貶謫(へんたく)された100人の仙女の行方を求めて唐敖(とうごう)が海外諸国を経めぐる話を骨子としているが,後半,100人の仙女たちの博学多識ぶりが披露され,ために,男女平等論を唱えた小説とも評価されている。経めぐる海外諸国は古代の地理書《山海経(せんがいきよう)》に見えるもので,異色のパロディ小説ともなっている。【中野 美代子】。…

【妖怪】より

…昇仙すべき場所は崑崙山であるが,はるかなる山岳は,どこも暗黒と妖怪が支配していた。漢代(前206‐後220)に成立したと思われる空想的地理書《山海経(せんがいきよう)》は,そのような諸方の山岳と妖怪についての集大成である。そこに登場する怪獣たちは,多くは(1)現実に存在する動物のある器官が欠損しているもの(たとえば1本足の牛である夔(き),首なし人間の形天など),(2)ある器官が過剰なもの(たとえば3本足のカラス,頭一つに体が三つある三身民など),(3)器官の位置が間違っていたり,さまざまな動物の器官が混在しているもの(たとえば目が背中についている羊の訑(はくい),馬身人面で鳥の翼をもつ英招,蛇身人面の燭陰など),いずれも,ビュフォンの怪物の定義にぴったり合致するものばかりである。…

※「山海経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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