表面波(読み)ヒョウメンハ(その他表記)surface wave

精選版 日本国語大辞典 「表面波」の意味・読み・例文・類語

ひょうめん‐はヘウメン‥【表面波】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 海面付近で運動する波。波長に比べて水深が十分に大きい重力波。〔百万人の科学(1939)〕
  3. 地震波の一つ。物体の表面に沿って伝わる波。波の進行方向に振動するレイリー波とそれに直角な方向に振動するラブ波主成分とする。L波。〔百万人の科学(1939)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「表面波」の意味・わかりやすい解説

表面波
ひょうめんは
surface wave

媒質の表面や境界面に沿って伝わる波。媒質の表面(境界面)付近に波のエネルギーは集中する。

 弾性体の場合、おもな表面波にレイリー波Rayleigh waveとラブ波Love waveの2種類がある。両者とも媒質の表面に沿って伝わる。一様な構造をもつ弾性体を伝わるレイリー波の場合、媒質の表面上の点は波の伝播(でんぱ)方向を含む垂直面内で縦長の楕円(だえん)軌道を描くように運動する。その回転方向は、楕円の上端で波の伝播方向に対して後ろ向きである。この場合レイリー波の伝播速度はS波速度のほぼ0.9倍である。ラブ波は、S波速度の遅い層が表面にあるとき存在する。表面上の点は表面内をラブ波の伝播方向とは直交する方向に振動する。ラブ波の場合、波の伝播速度が波長により異なるという現象、すなわち分散がみられる。レイリー波の場合も媒質に層構造があれば分散を示す。表面波の伝播速度と波長(または周期や周波数)の間の関係を表す曲線を分散曲線という。観測により得られた分散曲線を基礎にして、地球内部の大まかな地震波速度分布を推定することができる。

[山下輝夫]

海洋

一般には流体表面を伝わる波のうち、深さとともに急激に減衰するものをさすが、海や湖では、波長(L)が底の深さ(H)の倍よりも短い重力波である。L=2Hの場合、底での波動水面の23分の1であり、波動は水面近くに限られている。したがって波長と周期(T)の間の関係や波速(C)に底の深さは関与しない。それで表面波の別名は深海波である。

 gを重力の加速度とすれば、L=gT2/2π、CL/T=gT/2π。

 風浪の波長は数十メートル、うねりの波長は200メートルくらいだから、外洋ではどちらも表面波である。表面波が海岸近くに達して海が浅くなると、波長は短くなるが海も浅くなっているため、L≦2Hの関係が成り立たなくなる。L≧10H程度になると、長波あるいは浅海波とよばれ、波速はH平方根に比例する。


深い所で速く、浅い所で遅いから、波の進行方向は次第に等深線に、したがって海岸線に、直角になるように変わってゆく。

 流体の密度が深さとともに変わる場合、流体内部にも重力波が発生することがある。これを内部波という。内部波と区別して流体表面に起きる波を表面波とよぶこともある。

[高野健三]

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最新 地学事典 「表面波」の解説

ひょうめんは
表面波

surface wave

半無限弾性体表面に沿って伝わるレーリーの波は次の3性質をもつ。1)波面は表面に垂直である。2)速度は物質定数と境界条件によって与えられる固有値として定まり,かってな値をとらない。3)エネルギーは表面付近に集中し,表面より深く入ると振幅は指数関数的に減少する。半無限体の上に一様な低速表面層がある場合に存在するラブ波も,速度が物質定数のみならず,周期,表面層の厚さの関係する多価関数となる点を別にして,上と同様の性質をもつ。以上の諸性質を備える波は厳密な意味で表面波と称しうる。レーリー波およびラブ波はその代表的なものである。表面層が二つ以上あっても,ほぼ同様の性質が成り立つが,条件が異なるにつれて上の諸性質は厳密には成立しなくなる。例えば表面に凹凸があれば,1),2)の性質は期待しがたいが,もし3)がほぼ満たされていれば一般には表面波といいうる。不規則な形をもつ地表に沿って伝わる波も表面波と呼ばれるゆえんである。弾性体が球または円柱のときにも,波長が球または円の半径に比べて十分に小さいとき,上の3性質のうち1),2)はそのまま,3)は近似的に成り立つので,これまた曲面に沿って伝わる表面波といいうる。ただ波長が長くなり,半径と同じ程度になると,3)はもはや成立しなくなる。同様のことは,両面が自由の弾性板の場合にもある。3)は成り立たないが,数学的取扱いの類似から,表面波として扱われることが多い。次元解析的に考えれば,層の存在する場合,表面波は原則として分散性をもつが,そのような場合,波線理論に基づき,一種の干渉現象として説明しうることがわかっている。液体表面に生ずる重力波も3)の性質をもつことが古くから知られている。

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改訂新版 世界大百科事典 「表面波」の意味・わかりやすい解説

表面波 (ひょうめんは)
surface wave

波動の性質は,基本的には無限に広がる媒質中を伝わる波と考えて理論的にも説明されるが,媒質の表面や別の媒質との境界面の付近では,特殊な性質の波が発生する。これを表面波と呼ぶ。地表を伝わる地震波,導体の表面に沿って伝わる電磁波などがその例で,理論的に研究され,実際に観測もされているが,その性質は一般に複雑,多様である。なお水面の波は,水深が十分に深く水底の影響が波の性質に関係しない場合に表面波と呼ばれる。
執筆者: 地震の表面波はP波やS波に続く地震波の一部分で,主要動のS波に続くゆらゆらした振動として感じられる場合がある。地球表面に沿って伝わり,鉛直面内に振動するレーリー波と水平面内に振動するラブ波とがある。前者は地球の伸び縮み振動,後者はねじれ振動に対応する。
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百科事典マイペディア 「表面波」の意味・わかりやすい解説

表面波【ひょうめんは】

媒質の表面または2媒質の境界面で起こる波。(1)おもに重力の作用で起こる水の波(重力波)では,波長λが水の深さhに比べて小さい波をいう。このとき波の速度は水の深さに無関係でほぼ(式1)となる(gは重力加速度)。表面波に対し波長が深さhに比べ大きいときは長波といい,波の速度は波長によらずほぼ(式2)となる。(2)地球表面に沿って進む地震波。レーリー波とラブ波の2種があり,いずれもP波,S波に比べて周期が大きく,速度は遅いが,二つのうちではレーリー波のほうが周期が小さく,速度が速い。減衰が少ないので,震源が遠い地震の振幅はP波,S波よりも表面波のほうが大きい。
→関連項目地震波

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「表面波」の意味・わかりやすい解説

表面波
ひょうめんは
surface wave

媒質の表面または2つの媒質の境界面に沿って伝わる波。表面から内部へ離れるとともに,振幅は急激に減少する。深い海の表面の重力波,導体の表面を伝わる高周波の電磁波,弾性体の表面を伝わるレイリー波ラブ波がある。地表から浅いところで発生した地震を遠く離れたところで観測すると,レイリー波やラブ波が認められる。

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世界大百科事典(旧版)内の表面波の言及

【地震波】より

…震源よりある程度離れた地点では,最初に〈がたがた〉と小さく上下方向に揺れたのち,〈ゆさゆさ〉と水平方向に大きく揺れ,その後〈ゆらゆら〉と小さくなりながら振動が続く。最初の〈がたがた〉がP波,次の〈ゆさゆさ〉がS波,これに続くのが表面波である(図1)。P波は縦波で,波の伝わる方向に振動し,伸び縮み(体積変化)を伝える。…

※「表面波」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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