麒麟・騏驎(読み)きりん

精選版 日本国語大辞典 「麒麟・騏驎」の意味・読み・例文・類語

き‐りん【麒麟・騏驎】

〘名〙
① 古代中国で、聖人が出現して良い政治が行なわれる時に、そのしるしとしてこの世に現われるとされる想像上の動物。体は鹿、蹄(ひづめ)は馬、尾は牛、額は狼(おおかみ)に似ており、角(つの)が一本、全身は黄色、腹部五色で、生物や生草を害さないという。一説に、雄が「麒」で、雌が「麟」。
書紀(720)白雉元年二月「所謂る鳳凰・騏驎・白雉・白烏、〈略〉皆是れ、天地の生す休祥嘉瑞なり」 〔礼記‐礼運〕
② 一日に千里も走るというほど、よく走るすばらしい馬。駿馬(しゅんめ)名馬
※日蓮遺文‐撰時抄(1275)「夫(それ)驥驎の尾につけるだにの一日に千里を飛ぶ」 〔韓愈‐雑詩〕
③ 「きりんじ(麒麟児)」の略。
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)三「かかる勇者の出生す国々たり君々たる、日本のきりん是成(なる)はと、異国武徳をてらしけり」 〔晉書‐顧和伝〕
④ キリン科の哺乳類。一属一種で、九亜種に分けられている。首と四肢(しし)が著しく長く、肩高約三メートル、頭頂までは五メートル以上に達し、陸上の哺乳類中最も高い。体毛は密で短く、灰色ないし淡褐色の地に暗褐色の大きな斑紋がある。頭頂に皮膚でおおわれた一対の短い角があるが、三本または五本のものもある。各肢のひづめは二個。アフリカの草原地帯にすみ、アカシアなどの葉や小枝を食べる。性質はおとなしく、走るのが速い。ジラフ。〔蛮語箋(1798)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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