オオルリオサムシ(英語表記)Damaster gehini

改訂新版 世界大百科事典 「オオルリオサムシ」の意味・わかりやすい解説

オオルリオサムシ
Damaster gehini

甲虫目オサムシ科の昆虫北海道平地から山地まで分布する。成虫背面は金緑色,赤銅色,暗紫色など色彩に変化がある。頭部や胸部は金属光沢があるが,上翅は隆起条や点刻によって凹凸があり,光沢が鈍くなる。体長25~35mm。色彩や凹凸の変化から,いくつかの亜種に分けられ分布も局地的である。本種は平地では湿地帯よりも,その周辺のやや乾燥した丘陵好み,山地では谷間より尾根山腹を好む。これらの地は,いずれも草原あるいは下草の生えた疎林である。道南の平地では5月ごろから出現するが,主として6月から9月まで見られ,6~7月に土中へ産卵する。幼虫カタツムリを食して生育し,約50日間でさなぎとなる。蛹化(ようか)は石の下などにもぐりこんで行われる。北海道からは本種のほか,アイヌキンオサムシ,セスジアカガネオサムシなど色彩の美しいものが知られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオルリオサムシ」の意味・わかりやすい解説

オオルリオサムシ
おおるりおさむし / 大瑠璃歩行虫
[学] Damaster gehini

昆虫綱甲虫目オサムシ科に属する昆虫。北海道特産の美麗で大形の種類である。体長26~35ミリメートル。体は黒いが、背面は普通金属光沢を帯び、全体が金緑色のものから頭胸部が赤銅色のもの、上ばねが銅色、青紫色のものなど変化がある。頭胸部は幅が狭く、上ばねは卵形に広がり、各3条の隆起線が縦に走るが、地方変異があり、隆起線がくぼみのところで断続するものや、北海道南部に分布する亜種のように、隆起が低くなり表面が網目状の構造を示すものもある。成虫は初夏から秋までみられ、カタツムリやイモムシなどを食べ、初夏に土中に産卵する。幼虫はカタツムリを食べ約50日で蛹(さなぎ)となる。

[中根猛彦]


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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「オオルリオサムシ」の解説

オオルリオサムシ
学名:Damaster gehinii

種名 / オオルリオサムシ
目名科名 / コウチュウ目|オサムシ科
解説 / 森林の地表にすみ、カタツムリやガの幼虫などを食べます。体色には大きな変異があります。
体の大きさ / 23~35mm
分布 / 北海道(南部をのぞく)
成虫出現期 / 5月~秋まで活動
幼虫の食べ物 / カタツムリ

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