ファインマン(読み)ふぁいんまん(英語表記)Richard Phillips Feynman

デジタル大辞泉 「ファインマン」の意味・読み・例文・類語

ファインマン(Richard Phillips Feynman)

[1918~1988]米国の理論物理学者量子力学研究従事量子電磁力学繰り込み理論完成した。1965年、朝永振一郎シュウィンガーとともにノーベル物理学賞受賞。著「ファインマン物理学」5巻。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ファインマン」の意味・読み・例文・類語

ファインマン

  1. ( Richard Phillips Feynman リチャード‐フィリップス━ ) アメリカの理論物理学者。第二次世界大戦中マンハッタン計画(原爆研究開発)に参加。量子電磁力学の研究に従事し、くりこみ理論を完成。一九六五年、朝永振一郎、シュウィンガーとともにノーベル物理学賞受賞。(一九一八‐八八

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファインマン」の意味・わかりやすい解説

ファインマン
ふぁいんまん
Richard Phillips Feynman
(1918―1988)

アメリカの理論物理学者。ニューヨーク市生まれ。マサチューセッツ工科大学卒業。プリンストン大学大学院をホイーラーJohn A. Wheeler(1911―2008)のもとで終え、1942年理学博士となる。その後プリンストン大学へ、さらにロス・アラモス研究所開設とともにそこへ移り、第二次世界大戦終了までマンハッタン計画(原爆開発研究)に参加。戦後コーネル大学準教授。1950年からカリフォルニア工科大学教授。朝永振一郎(ともながしんいちろう)、シュウィンガーとともに、量子電磁力学の基礎研究に対し1965年ノーベル物理学賞が贈られた。彼が開発した経路積分による量子力学の定式化は、彼自身により物性物理の問題へ巧みに応用され、また場の理論の展開で重要な役割をしている。彼の理論展開の特徴は、直観的に本質をとらえた物理的描像から出発し豊富な結果を導くことである。1960年から2年間のカリフォルニア工科大学での講義録翻訳『ファインマン物理学』全5冊)は、物理学への入門書として定評がある。がんで没する前には、情報科学に関心を寄せた。

[藤井寛治 2018年10月19日]

『富山小太郎他訳『ファインマン物理学』新装版・全5冊(1986・岩波書店)』『ファインマン著、釜江常好・大貫昌子訳『光と物質のふしぎな理論――私の量子電磁力学』(1987・岩波書店/岩波学術文庫)』『ファインマン、S・ワインバーグ著、小林澈郎訳『素粒子と物理法則――窮極の物理法則を求めて』(1990・培風館/ちくま学芸文庫)』『ファインマン著、大場一郎訳『素粒子物理学――ファインマン・レクチャー』(1992・丸善)』『ファインマン、A・R・ヒッブス著、北原和夫訳『量子力学と経路積分』(1995/新版・2017・みすず書房)』『ファインマン著、大貫昌子訳『科学は不確かだ!』(1998・岩波書店/岩波現代文庫)』『A・ヘイ、R・アレン編、ファインマン著、原康夫他訳『ファインマン計算機科学』(1999・岩波書店)』『ファインマン、F・モリニーゴ、ワーグナー著、和田純夫訳『ファインマン講義――重力の理論』(1999・岩波書店)』『ファインマン著、大貫昌子・江沢洋訳『ファインマンさんベストエッセイ』(2001・岩波書店/改題『聞かせてよ、ファインマンさん』・岩波現代文庫)』『ファインマン著、大貫昌子訳『ご冗談でしょう、ファインマンさん』上下、『困ります、ファインマンさん』(岩波現代文庫)』『ファインマン著、江沢洋訳『物理法則はいかにして発見されたか』(岩波現代文庫)』『中西襄著『ファインマン・ダイアグラム』(1993・丸善)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファインマン」の意味・わかりやすい解説

ファインマン
Feynman, Richard Philips

[生]1918.5.11. ニューヨーク
[没]1988.2.15. ロサンゼルス
アメリカの理論物理学者。マサチューセッツ工科大学およびプリンストン大学に学ぶ。第2次世界大戦中は原子爆弾製造のマンハッタン計画に従事。コーネル大学の理論物理学助教授 (1945) を経て,カリフォルニア工科大学教授 (50) 。量子電磁力学におけるくりこみ理論の研究によって,1965年に朝永振一郎,J.シュウィンガーとともにノーベル物理学賞を受賞した。また経路積分の方法によって,場の量子論に新しい定式化を与えた。彼の創案になるファインマン・ダイアグラムは理論物理学で広く用いられている。一般物理学の講義録『ファインマン物理学』 Feynman Lectures on Physics (64) は,物理学の教科書として高い声価を受けている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ファインマン」の意味・わかりやすい解説

ファインマン

米国の物理学者。マサチューセッツ工科大学,プリンストン大学で学び,第2次大戦中はロス・アラモスで原爆研究に従事。1950年カリフォルニア工科大学教授。量子電磁力学を研究し,朝永振一郎シュウィンガー独立に1948年くりこみ理論を発表,1965年3者ともノーベル物理学賞。ほかに液体ヘリウムII,β崩壊等も研究。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android