アメリカの理論物理学者。ニューヨーク市生まれ。マサチューセッツ工科大学卒業。プリンストン大学大学院をホイーラーJohn A. Wheeler(1911―2008)のもとで終え、1942年理学博士となる。その後プリンストン大学へ、さらにロス・アラモス研究所開設とともにそこへ移り、第二次世界大戦終了までマンハッタン計画(原爆開発研究)に参加。戦後コーネル大学準教授。1950年からカリフォルニア工科大学教授。朝永振一郎(ともながしんいちろう)、シュウィンガーとともに、量子電磁力学の基礎研究に対し1965年ノーベル物理学賞が贈られた。彼が開発した経路積分による量子力学の定式化は、彼自身により物性物理の問題へ巧みに応用され、また場の理論の展開で重要な役割をしている。彼の理論展開の特徴は、直観的に本質をとらえた物理的描像から出発し豊富な結果を導くことである。1960年から2年間のカリフォルニア工科大学での講義録(翻訳『ファインマン物理学』全5冊)は、物理学への入門書として定評がある。がんで没する前には、情報科学に関心を寄せた。
[藤井寛治 2018年10月19日]
『富山小太郎他訳『ファインマン物理学』新装版・全5冊(1986・岩波書店)』▽『ファインマン著、釜江常好・大貫昌子訳『光と物質のふしぎな理論――私の量子電磁力学』(1987・岩波書店/岩波学術文庫)』▽『ファインマン、S・ワインバーグ著、小林澈郎訳『素粒子と物理法則――窮極の物理法則を求めて』(1990・培風館/ちくま学芸文庫)』▽『ファインマン著、大場一郎訳『素粒子物理学――ファインマン・レクチャー』(1992・丸善)』▽『ファインマン、A・R・ヒッブス著、北原和夫訳『量子力学と経路積分』(1995/新版・2017・みすず書房)』▽『ファインマン著、大貫昌子訳『科学は不確かだ!』(1998・岩波書店/岩波現代文庫)』▽『A・ヘイ、R・アレン編、ファインマン著、原康夫他訳『ファインマン計算機科学』(1999・岩波書店)』▽『ファインマン、F・モリニーゴ、ワーグナー著、和田純夫訳『ファインマン講義――重力の理論』(1999・岩波書店)』▽『ファインマン著、大貫昌子・江沢洋訳『ファインマンさんベストエッセイ』(2001・岩波書店/改題『聞かせてよ、ファインマンさん』・岩波現代文庫)』▽『ファインマン著、大貫昌子訳『ご冗談でしょう、ファインマンさん』上下、『困ります、ファインマンさん』(岩波現代文庫)』▽『ファインマン著、江沢洋訳『物理法則はいかにして発見されたか』(岩波現代文庫)』▽『中西襄著『ファインマン・ダイアグラム』(1993・丸善)』
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