フリースクール(英語表記)free school

翻訳|free school

デジタル大辞泉 「フリースクール」の意味・読み・例文・類語

フリー‐スクール(free school)

教科の選択などに生徒の自主性を重視する学習法を行い、従来の学校のような管理評価などを行わない教育施設

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精選版 日本国語大辞典 「フリースクール」の意味・読み・例文・類語

フリー‐スクール

〘名〙 (free school) 教科の選択などに生徒の自主性を重視する学習法を行ない、従来の学校のような管理や評価などを行なわない教育施設。

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最新 心理学事典 「フリースクール」の解説

フリースクール
フリースクール
free school

伝統的な学校教育に伴いがちな義務,管理,権威といったいっさいの強制的圧力から子どもを解き放ち,全面的に個人の主体性を信頼し要求を尊重した,自由で個性的で民主主義的教育の実現をめざす学校の総称。ニイルNeil,A.S.が1924年にイギリス開設した男女共学,寄宿制の私立学校,サマーヒル学園Summerhill schoolにその源流を求めることができる。1960年代後半から1970年代にかけて,アメリカを中心に伝統的な学校教育を批判し,それに代替する新しい学校のあり方を多様に模索したオルタナティブスクールalternative school運動が勃興する。その一つの流れとして1968年開校のサドベリーバレースクールSudbury valley schoolなど,サマーヒルに影響を受けながらも独自な実践を展開するフリースクールがアメリカ各地に開設された。日本でも1980年代半ばからサマーヒルに範を求めるフリースクールが模索されるが,1992年開校のきのくに子どもの村学園(和歌山県橋本市)のような正規の私立学校(学校教育法第1条に該当する,いわゆる1条校)が生まれる一方で,私塾のような形での開設も相次いだ。そこに不登校の子どもが多数集まったことから,1990年代には不登校の子どもに居場所を提供するとともに学習や生活の自立を支援する民間施設を,広くフリースクールとよび習わすようになった。したがって,その中には欧米におけるフリースクールとは異質な取り組みも少なからず含まれている点に留意する必要がある。

 フリースクールは,授業への出席それ自体から子どもの意思に委ねる,指導上の必要から教師最低限付与される権威も排除するなどの点において,同じく児童中心主義の立場に立つオープンスクールopen schoolなどと比べても,いっそう急進的で徹底した取り組みといえる。その一方で,学校を共同体とみなし,すべてのおとなと子どもが対等な立場で自治的に運営することを重要視してきた。そこでは,自由で自立した個人だからこその責任ある関与が求められ,これが子どもの学習者,生活者としての自立を促すと期待されている。フリースクールでは,この自由の徹底と自治への参画という二つの特質の絶妙な組み合わせにより,自由と責任,個性と公共性の調和的実現が可能になると考えられてきたのであり,その意味でデモクラティックスクールdemocratic schoolとよばれることもある。フリースクールは子どもの要求を最優先に考え,最大限応じようとするが,それは子どもを顧客とみなし,個々人が求める教育サービスを一種の商品として提供しようとする動向とは大いに異なる。

 フリースクールは,従来の学校とは大きく異なるがゆえに課題も多い。まず,授業への参加や学習内容の選択が子どもの意思に任せられるため,教師には高度な力量が求められる。また,子どもにも主体性や創造性,積極的に学ぶ姿勢が求められる。サマーヒルでも授業への参加に消極的なため,卒業までに基礎的な学習能力を獲得できない子どもが存在した。さらに,個々の子どもの多様な要求にていねいに応えていこうとすると,教材,教具,施設・設備に関する要求も高くなりがちだが,フリースクールの多くは小規模な私立学校であるため,財政的な問題が生じやすい。これについては,1991年にミネソタ州で始まり,のちにアメリカ全土に広がっていった公設民営学校制度であるチャータースクールcharter school制度の利用が,現在では有望な選択肢となっている。 →オープンスクール →カリキュラム
〔奈須 正裕〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フリースクール」の意味・わかりやすい解説

フリースクール
free school

従来の学校教育の枠にとらわれず,子供の自由と自主性の尊重を原則とする学びの場。1920年代の進歩主義教育運動の流れのなかで,子供の要求を徹底的に尊重する自由主義教育を主張したイギリスの教育家アレクサンダー・S.ニールが創設し,世界でいちばん自由な学校といわれたサマーヒル・スクールがその典型。ドイツのシュタイナー学校,アメリカ合衆国のクロンララ・スクールなどもこの流れをくむ。日本では,ニールやルドルフ・シュタイナーなどの思想を学んだ人たちが既存の学校教育とは異なる教育を目指して設立したものと,深刻化した不登校に対応するために親たちの手で任意に設立されたものとの二つの流れがあり,1980年代後半から急増した。非営利組織 NPOの事業によるもの,社会教育施設が場を提供しているものなど,さまざまな形態がある。文部科学省はフリースクールに通った日数,インターネットで自宅学習した日数を学校の出席日数として認めた。2001年に NPO法人フリースクール全国ネットワークが設立された。

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