出所・出処(読み)しゅっしょ

精選版 日本国語大辞典 「出所・出処」の意味・読み・例文・類語

しゅっ‐しょ【出所・出処】

〘名〙
① (特に「出処」の字を用いる。「処」はとどまり居るの意) 出て仕えることと退いて民間にいること。仕官在野
※仏乗禅師東帰集(1335頃)丘侍者雪夜軸序「巻是何軸、曰未其人生縁出処之因」 〔晉書‐夏統伝〕
② 事の発生した所。物が出てきた所。でどころ。出自
※寛永版曾我物語(南北朝頃)一〇「箱根の別当に契約せし故、太刀のしゅっしょをも隠し」 〔滄浪詩話‐詩法〕
③ 生まれた所。出生地。また、生まれた境遇。でどころ。出自。
※正法眼蔵(1231‐53)古仏心「古仏にあらざる自己は、古仏の出処をしるべからず」
読本・英草紙(1749)五「其女子の出所(シュッショ)は何国(いづく)ぞ」
④ ことばの生まれた由来、よりどころなど。
太平記鈔(1596‐1624頃)一八「早離速離 出所をいまだ知らず。但盛衰記には何ともなく詳にかけり」
⑤ (出所) 刑を終わって、刑務所から出ること。
真空地帯(1952)〈野間宏〉一「これが彼が刑務所にいるとき、いつもあれこれと想像していた出所の日だった」
⑥ 研究所など、「所」と付く場所に出勤すること。⇔退所

で‐どころ【出所・出処】

〘名〙
物事の出てきたもとの所。出た場所。しゅっしょ。〔文明本節用集(室町中)〕
浮世草子日本永代蔵(1688)一「遣ひ捨し金銀の出所(デドコロ)なく」
② 出るところ。出るべき場所や場合。また、出るべきおおやけの場所。
※浄瑠璃・卯月の紅葉(1706頃)上「出所(デドコロ)へつれて出て、くびになはをかけふか」
③ 外へ出るところ。出口

いで‐どころ【出所・出処】

〘名〙 物事の出てくるもと。でどころ。いでど。しゅっしょ。
狭衣物語(1069‐77頃か)三「いで所の便なければ、袖して顔を隠して」
※後拾遺(1086)序「また歌のいでどころもつまびらかならず」

で‐どこ【出所・出処】

滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「伯父御でもいたぶらねへきゃア、出所(デドコ)がねへはな」

で‐と【出所・出処】

〘名〙 山や谷の、奥に対して里に近い方。山や沢の入り口。また、出入り口やその辺り。東北地方でいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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