化学反応速度論(読み)カガクハンノウソクドロン

化学辞典 第2版 「化学反応速度論」の解説

化学反応速度論
カガクハンノウソクドロン
chemical kinetics

化学反応速度を対象とする物理化学の一分野.化学反応の速度に及ぼす反応物質の濃度温度,添加物など諸条件の影響を定量的に調べ,これにもとづいてその反応の素反応機構を推定し,さらに各素反応の反応速度から全反応速度を表す速度式を導く.また,素反応の速度の測定,およびその理論的説明も含まれる.化学反応速度の最初の定量的測定は,19世紀半ば,水溶液におけるショ糖(スクロース)の転化について行われた.19世紀末,反応速度に及ぼす温度の影響についてのS.A. Arrhenius(アレニウス)の研究は,その後のこの分野の発展に大きく寄与した.20世紀に入ってからは,1930年前後のC.N. Hinshelwood(ヒンシェルウッド)の多くの気体化学反応についての実験的な研究と気体運動論にもとづいた衝突説,ついで1940年前後のH. Eyring(アイリング)らによる素反応の反応速度に関する量子力学的研究と統計力学的方法を用いた理論(遷移状態理論)は特筆されるべきである.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「化学反応速度論」の意味・わかりやすい解説

化学反応速度論
かがくはんのうそくどろん
principle of chemical kinetics

反応の速度をいろいろの条件下で測定し,その結果から反応の機構を推定し解明する学問。 19世紀末 J.ファントホフらが開拓した頃は,力学応用という考えから化学動力学といわれたが,最近では,量子力学,統計力学の理論も加わり,技術面も分析機器の進歩コンピュータ性能向上によって著しく進歩している。 (→反応速度論 )  

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